日本語の文と初見の言語の対訳文を見比べて、一つの単語を翻訳する――。国際言語学オリンピック(IOL)の日本委員会広報がツイッター上に投稿した問題が「パズルみたいで面白い」と話題になり、注目を集めている。
委員会は2022年7月27日、J-CASTニュースの取材に対し、「たくさんの方に言語学オリンピックの魅力を知っていただけて嬉しいです」と述べた。
「『もっと早く知りたかった......』という声を一つでも減らすのが我々の使命」
日本言語学オリンピック(JOL)公式サイトによれば、IOLは主に中等教育課程の生徒を対象とした国際科学オリンピックの一つだ。2003年からスタートし、毎年夏に開催されている。22年7月25〜29日に行われている第19回国際言語学オリンピックには、日本から2チーム7人が派遣されているという。
IOL日本委員会広報は7月25日、ツイッターで、「国際言語学オリンピックでは,こんな問題が出ます」として、日本語の文とキリヴィラ語というパプアニューギニアのトロブリアン諸島で使われている言語の対訳文を見比べながら翻訳する問題を紹介した。大会では初めて見る言語が出題され、「代表は与えられたデータから,その言語を解読し,文法規則を見つけ,翻訳をこなします」と説明している。
委員会は、紹介した問題を踏まえて「たとえば『白人の男性』を意味する単語を見つけることができるでしょうか?」と出題した。ツイッター上では、この問題に真剣に取り組むユーザーが続出し、様々な回答が飛び交い、「パズルみたいで面白い」「解いてて楽しい!」と楽しむ声が上がった。
今回の投稿は28日18時までに、1万1000件以上のリツイートや4万6000件以上のいいねを集めて話題になっている。委員会は27日、取材に対し「たくさんの方に言語学オリンピックの魅力を知っていただけて嬉しいです。中学・高校の授業では言語学に触れる機会がありません。『もっと早く知りたかった......』という声を一つでも減らすのが我々の使命だと思っています」と回答した。
「多様なバックグラウンドの方に楽しんでいただけている」
IOLオリンピックに参加するためには、二つの大会に出場する必要がある。公式サイトによれば、JOLで優秀な成績を収めた選抜メンバーは、次の大会「アジア太平洋言語学オリンピック(APLO)」に参加できる。ここでさらに選抜されたメンバーが、IOLに参加できるという。
大会に参加している人々について、委員会は、「全員個人の申込です」とし、「言語や言語学に興味がある、パズルや謎解きが好き、科学オリンピックに挑戦することが好き、ということで参加してくださる方が多いです」と述べている。
大会に参加した中高生の進路については「例年、半分くらいは言語学や自然言語処理・情報科学の分野に進みます。もう半分くらいは医・法・工など様々な分野に進みます」と説明しており、「言語学を専攻する方は多いですが、問題が専門知識を前提としないので、多様なバックグラウンドの方に楽しんでいただけていると思います」とした。
JOLには、中高生向けの選抜枠以外にも、大人でも参加できるオープン枠がある。委員会は、今回話題となった問題に取り組んだユーザーについて「問題を楽しんでください!公式サイトを見ればたくさんの過去問にアクセスできます」と呼びかけた上で、「(JOLへの参加を)力試しにいかがでしょうか」と提案している。