広島の秋山翔吾がチームを変える存在であることを証明したのが、前半戦最後に戦ったヤクルト3連戦(神宮)だった。
広島はこのカードまでヤクルトに9連敗中だった。かつては16年から5年連続カード勝ち越しと「お得意様」だったが、昨年は8勝14敗3分と負け越し。今年も阪神には11勝2敗2分、DeNAには12勝3敗と大きく勝ち越しているが、ヤクルトにはこのカードまで1勝10敗1分と圧倒されていた。
「チーム全体の『ヤクルトアレルギー』が払拭できた」
カード初戦となった22日のヤクルト戦。0-2と劣勢で8回に入った。敗色濃厚に見られた展開で、流れを変えたのが秋山だった。2死一塁から梅野雄吾の高めに浮いたチェンジアップを右中間中段へ運ぶ同点2ラン。4安打の大活躍で逆転勝利に大きく貢献し、ヤクルト戦の連敗を9で止めた。
翌23日の同戦でも初回に2試合連続の3号先制3ランを放つなど猛打賞4打点の活躍。今季最多22安打15得点と打線が爆発し、15-3と大勝した。この勢いで同一カード3連勝を飾りたかったが、秋山が下半身の張りで欠場した3戦目は打線が散発3安打に抑え込まれ、2-4で敗れた。
「秋山が3番でいるのといないのでは打線の迫力が全く違う。打たなくてもその存在が相手バッテリーに重圧をかける。3タテはなりませんでしたが、秋山の活躍でチーム全体の『ヤクルトアレルギー』が払しょくできたのではないでしょうか」(スポーツ紙デスク)
秋山加入でチームの雰囲気に変化
首位・ヤクルトに11ゲーム差とまだまだ遠いが、秋山の加入は大きなプラスアルファをもたらしている。
「チームの雰囲気が良い意味でピリっとしましたよね。性格は違いますが、野球に取り組むストイックな姿勢は鈴木誠也と相通じる部分がある。他の選手たちの良きお手本になっていますし、勝利への執念を物凄く感じる。2位以下は混戦ですが、広島が後半戦に快進撃でヤクルトの対抗馬になる可能性は十分にあると思います」(スポーツ紙記者)
変貌した広島の戦いぶりに要注目だ。
(中町顕吾)