手足3本失い10年「僕は今、人生を楽しんでいる」 「奇跡で助かった男」は今日も誰かのために発信を続ける

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10年のタイミングで、横浜の病院で講演

   この10年のタイミングで嬉しい出来事がありました。先ほど話した、事故直後に搬送された横浜の病院で、病院スタッフの方々に向けて講演させてもらったんです。2年前くらいに病院から話を頂き、新型コロナウイルスの影響もあってできていなかったところ、2022年6月末に実現しました。

   10年前の救命スタッフや看護師さん、今働いている人たち、すでに辞めた方も含めて100人くらいが集まってくれました。「僕は今ここに立って皆さんにお話ができています。始まりは10年前、この病院で皆さんが僕の命を助けてくれたことです。明るさを取り戻し、歩けるようになったのも、病院の皆さんがいつも寄り添ってくれたからです。ここは僕の人生の始まりそのもの。今、改めてこの場を借りて感謝を伝えさせてください。僕を助けてくれてありがとうございました」。そんな思いの丈を30分間話しました。

   僕にとってすごく感慨深いことで、ドラマにできると思うくらい感動しました。10年前に病院へ運ばれてきた時の写真も見せてもらいました。改めて思うのは、「命が助かったのは奇跡だったんだ」ということ。搬送直後の写真は、手足が原型を留めていませんでした。出血がひどく、輸血の記録を見たら、人の体を1周する以上の量をもらっていました。朝までかかる長時間の手術の末、切断して命を助けてもらいました。

   僕の講演を泣いて聞いてくれている人もいました。僕自身も込み上げてくるものがあって、我慢していたんですけど、どこかの瞬間で抑えられなくなって泣きました。「この景色を見ることができなかったかもしれないんだ。何回も死にたいと思ったけど、この景色が見られて本当に良かった」と思いました。

   目の前にあること全て、良いことも悪いことも、生きていないと感じることができませんでした。そんな「今」があることの幸せを思うと、泣けました。あの時死んでいたら何も感じられなかった。「生きていて良かった」、そして「生かしてくれてありがとうございます」。そんな感情が込み上げてきたんです。

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