家族に芸能人が居ても...「それほど大きな影響は与えない」
身内に芸能人を持つ候補者が地方選などに出馬した場合、選挙戦への影響はあるのだろうか。長年にわたって選挙取材を続け、「コロナ時代の選挙漫遊記」(集英社)などの著書があるジャーナリストの畠山理仁(みちよし)さんは7月20日、J-CASTニュースの取材に、こう見解を示す。
「それほど大きな影響は与えないと思います。ただし、まったく影響がないわけではありません。日本の選挙は投票時に名前を書く『自署式』です。投票所前に設置されるポスター掲示場を見て投票先を選ぶ人が多いことからもわかるように、日本の選挙で大切なのは、有権者にどれくらい認知されているかという『知名度』です。身内に著名人がいない人よりは話題になりやすいため、プラスに働く面はあると思います」
ただ、後藤市長と上地市長の当選については、息子が芸能人であるアドバンテージを受けた結果だったとは「言えないと思います」とみる。
「そもそも上地市長はご子息が芸能界でブレイクする前に市議になり、地方政治家としての実績を重ねてきました。後藤市長も市役所での勤務が長い。どちらもご自身の力で選挙に勝っていると考えて間違いない。大泉さんも市役所の勤務が長い。市長選挙に挑戦するキャリアとしては一般的であり、大きく外れていません。たまたま家族に著名人がいた、というケースだと思います」
地方の首長選挙は、候補者個人の支援者による票や支援組織の票、団体票など、『知名度』とは無縁なところでの投票が主だと畠山氏は説明する。吹田市、横須賀市、函館市の直近の市長選では、いずれも投票率が50%を切っていた。半分以上の人が選挙に行かないという状況の中では、「選挙に確実に行く人、政治に興味がある人にとって、(家族に芸能人がいることは)それほど大きな影響は与えないと思います」と分析する。
では、潤氏が出馬した場合、弟が洋さんであることはアドバンテージになりうるのだろうか。
「選挙をするのはあくまでもご本人ですから、大きなアドバンテージにはならないと思います。身内や応援者がいくら有名でも、候補者個人の得票に大きなプラスとはなりません。それは東京都知事選挙で366万票以上の票を得た小池百合子東京都知事が応援しても、先の参院選で当選できなかった候補者がいることでも明らかです。応援があればプラスに働くこともあるかもしれないから、やれることはやる。それぐらい候補者は一票を取るために必死の戦いをしていますが、アドバンテージになるとまでは言えないと思います」