小田急電鉄の特急「ロマンスカー」に架空予約を繰り返した問題が耳目を集めている。
2022年7月13日、警視庁は埼玉県志木市に住む無職の男(48)を偽計業務妨害容疑で東京地検に書類送検。各メディアの報道によると、男は21年3月から11月にかけて、ロマンスカーに乗車する意思がないにもかかわらず約9300回にわたって特急券の予約を繰り返しつつこれをキャンセルし、同社の業務を妨害した疑いが持たれている。調べに対し、男はいやがらせ目的で犯行に及んだと供述しているという。
出発15分前までに決済しなければ予約は取り消される
ロマンスカーといえば、先頭と最後尾車両にある展望席で有名。今回の架空予約では約9割が展望席の予約だったという。ロマンスカーの予約システムでは、予約を入れた時点では決済は行わないが、発車15分前までに決済がない場合は予約が自動的に取り消される仕組みだ。悪用された場合は架空予約による被害が出やすいとも言える。
一方で、このやり方であれば気軽に予約を入れることができ、その恩恵に浴していた人も多いと言えそうだ。今後、こういった犯罪を防ぐためには、どういった予約システムのあり方が望ましいのか。鉄道に詳しいライターの小林拓矢氏に聞いた。
新幹線同様に「予約と購入は一体とすべき」
小林氏は、架空予約を防ぐ方法として、
「ネット予約の時点で、クレジットカード決済を必要とするシステムに変え、予約と購入は一体とすべきです。JR東海などの『エクスプレス予約』などは、予約時に決済しています。
予約のキャンセルの手続きをした時点で、あらためて返金するのが良いと考えます」
などと提言。ただ、このように変更した場合、悪意のない乗客にとっては利便性が下がるとも言える。その場合、どの程度の不便さまでならユーザーからの合意は得られると考えられるのだろうか。
「ロマンスカーのネット予約の主なユーザーは、頻繁に利用する都心からの帰宅客だと考えます。多くは当日に予約をし、乗車するものと思われます。ゆえに、予約時に決済をするというシステムで、十分機能すると考えられます。JRなどのネット予約システムでもそれで問題なく利用できていますので、予約時決済程度の不便さならば、普通に席を利用するユーザーからの合意は得られるのではないでしょうか」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)