「どうぶつ島のチョビぐるみ」約20年の攻略ついに結実 ゲームボーイが繋いだ「奇跡」の縁

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   約20年間プレイし続けたゲームの攻略方法がSNSを通して判明した。あるユーザーの体験談がツイッターで拡散され、大きな感動を生んだ。

   話題となったのは、ゲームボーイアドバンス(GBA)用ソフト「どうぶつ島のチョビぐるみ」。開発関係者らの協力を得て、攻略方法が明らかになった。ようやくわかったクリアに必要なアイテムは、偶然にもユーザーの夫が所有していた。

   J-CASTニュースは、ツイッターユーザー・らげしば(@293szsn)さんに、攻略までの道のりを取材した。

  • らげしばさんが攻略に挑んだゲーム「どうぶつ島のチョビぐるみ」
    らげしばさんが攻略に挑んだゲーム「どうぶつ島のチョビぐるみ」
  • 念願の「ニジのおうじさま」出現
    念願の「ニジのおうじさま」出現
  • グレーの枠で通信
    グレーの枠で通信
  • 攻略に用いたゲーム「ガチャステダイナデバイス2」
    攻略に用いたゲーム「ガチャステダイナデバイス2」
  • らげしばさんが攻略に挑んだゲーム「どうぶつ島のチョビぐるみ」
  • 念願の「ニジのおうじさま」出現
  • グレーの枠で通信
  • 攻略に用いたゲーム「ガチャステダイナデバイス2」

一度はあきらめるも、「残り5匹」のために...

   らげしばさんがプレイしたコミュニケーションゲーム「どうぶつ島のチョビぐるみ」は、「なかよし」(講談社)で連載されていた同名の漫画を原作として、2003年にロケットカンパニーから発売された。プレーヤーは、小さな島「チョビぐるランド」に住民となる動物「チョビぐるみ」を呼び集めていく。らげしばさんは、60匹のチョビぐるみをコンプリートするために約20年にわたり攻略を続けてきたとして、次のように経緯を説明する。

   らげしばさんが同作に出会ったのは小学生の頃。友人とゲームの貸し借りをする中で、勧められた。どんなゲームなのかも知らずに取り組みはじめたが、何とか55匹のチョビぐるみを集めることができた。しかし残り5匹が全く見つからなかった。

   らげしばさんによれば、チョビぐるみを呼び出す方法は3種類あるという。1つ目はゲーム内のアドレス帳に実在の友人の名前や誕生日などのプロフィールを入力して呼び出す方法。2つ目はゲーム内の条件を満たして「空き家」という施設に呼び出す方法。3つ目は別の端末との「通信」だという。

   らげしばさんは、初めてプレイした時は「友達のプロフィールからどんなチョビぐるみが出てくるのかな?」とわくわくしたと振り返る。原作漫画を読んでいなかったために、まだ知らぬ全てのキャラクターの容貌を明らかにしたいという気持ちもあった。らげしばさんは友人と攻略情報を探し回ったが、攻略本は発見できず、インターネット上には既知の情報しかなかった。結局、小学生の頃はクリアできないまま友人にゲームを返却した。

「私が収集要素のあるゲームが好きで、『あと5匹ならコンプしたい!』という意欲があったのですが結構な期間ゲームソフトを借りてしまっていたので一旦諦めて友達にソフトを返しました。
でもそのあと気になって気になってしょうがなく心残りがあり後から自分でゲームソフトを入手して一人で攻略を始めました」

「苦しい、地獄だ、早く終わらせたい」孤独な攻略に協力者が現れる

   らげしばさんは、本格的に取り組み始めてからは「苦しい、地獄だ、早く終わらせたいという」という気持ちを抱えていたと吐露する。

「もう執念だけでプレイしていました。やめろと言われてもやめられません。
協力者様からお声掛けがくるまで基本一人でやっていたので辛かったです」

   攻略ブログを立ち上げ、一人で挑戦を続けていると、インターネット上で攻略に協力してくれる人が現れた。2021年からはツイッターのダイレクトメッセージでやりとりを行うようになり、らげしばさんよりも同作に詳しかったため、とても助かったという。

   2019年10月時点で、残るキャラクターは「ニジのおうじさま」だけとなった。しかし、その最後の1匹の捜索が困難を極めた。

   らげしばさんの協力者はある日、ゲームのエグゼクティブプロデューサーだった堀内光さんのSNSアカウントを発見した。当時は「でもチョビぐるみに関する連絡をとる勇気がない」と会話していたものの、協力者は後日「もうこの糸が切れたら終わりだ」と思い立ち、恐る恐る堀内さんに連絡を行った。

   らげしばさんは、「もうなくなった会社の過去のゲームソフトの攻略法についての返事なんてもらえるのかな...」と、あまり期待していなかった。「どうぶつ島のチョビぐるみ」を開発したロケットカンパニーは、2005年にイマジニア(東京都新宿区)の子会社となり、2016年に吸収合併される形で消滅している。

   2022年6月30日、らげしばさんたちの攻略に光明が差した。堀内さんがツイッターで次のように述べたのだ。

「約20年前に発売したゲームボーイアドバンス用のゲームソフト『どうぶつ島のチョビぐるみ』について熱心なユーザー様からお問い合わせをいただいたので、当時の関係者を探し出して、なんとか答えにたどり着けないかと悪戦苦闘しています」

関係者による調査で新情報が解明

   7月1日、ツイッターで堀内さんによる続報があった。

「ロケットカンパニーから同年12月にリリースされた『ガチャステダイナデバイス2』と通信するとオウジがゲットできる、という情報が急浮上し、今週末に調査班(当時のプランナーのお嬢さん)が検証してくれることになりました」

   発売当時所属していた会社や開発会社の人々の協力を経て、別のソフトとの通信で「オウジ」を入手できることが判明した。らげしばさんは、当時の感動をこう述べる。

「まさか捜査までして頂けるとは思ってもみなかったのでとても驚きましたし大興奮でした。連絡してくれた協力者様と元チョビぐるみスタッフの方々に感謝の気持ちでたくさんでした。
もう吸収合併されて無くなってしまいましたがロケットカンパニーの事が大好きになりましたね」

   らげしばさんは、堀内さんに感謝のコメントを送り、さっそく「ガチャステダイナデバイス2」を取り扱う中古ゲーム店を探しに行こうと準備を進めていた。すると、らげしばさんの夫・てぃがががさんから、こんなリプライが寄せられた。

「ガチャステダイナデバイス2持ってるよ俺」

   らげしばさんは驚きながらすぐに「貸してください!!!!」と返事をした。らげしばさんは、当時のやりとりを次のように振り返る。

「堀内様のツイートにリプライを送った後に職場で休憩中だったてぃががががTwitter上で『持ってるよ』と連絡してくれたのはナイスですね。 普段連絡取り合っているLINEだったら『今お前の話聞いてる場合じゃない』と未読無視していたかもしれません(笑)」

念願の「オウジ」をゲット、「解放された気分」に

   らげしばさんは2台のGBAを起動し、夫のてぃがががさんが偶然持っていた「ガチャステダイナデバイス2」との通信を行った。

   「ガチャステダイナデバイス2」には「チョビぐるみとつうしん」という専用の通信操作が用意されていた。

   一方で「どうぶつ島のチョビぐるみ」では、同作との通信が隠し要素となっていた。通信メニューには「つうしんミニゲーム」「もちものこうかん」といった6つの通信手段が表示される。そのうち1つは、上記のような説明書きがなく、グレーの花のみが描かれた枠だった。この謎のグレーの枠を選択すると、「ガチャステダイナデバイス2」との通信が始まる。

   2作品の通信によって、ようやく「ニジのおうじさま」を登場させることに成功したらげしばさんは、全キャラクターを集め終えた心境を次のように述べる。

「もちろん嬉しかったですが解放された気分になりました。
本当にオウジをゲットしたのか疑ってゲームデータをセーブしてから再開して確認しました。
もう本当にずっっっっと会いたかったキャラクターなので昼間に自宅で泣きました。
夫が帰宅後にもゲットした旨伝えてまた涙がでました(笑)
落ち着いてからは『こんな攻略法わかるわけないだろ!』と笑いましたね」

   てぃがががさんは、学生の頃に「ガチャステダイナデバイス2」をワゴンセールで買っていた。ツイッターで「嫁がまだ嫁じゃなかった頃どころかまだ彼女でもなかった頃から研究してたレトロゲームの最期の隠し要素握ってたの俺だったのちょっとしたフィクションみたいで笑ってる そんなことあるんだ」と驚きを述べた。

開発関係者からも祝福「ほっこりしました」

   らげしばさんが攻略を終えたころ、堀内さんら開発関係者の間でも検証を終えていた。堀内さんはらげしばさんに、次のように感謝をツイートした。

「すでにニジのおうじさまをゲットされたようで、とても嬉しく存じます。超マイナーなレトロゲームであるチョビぐるみの攻略を長年ブログで発信し続けてくださったらげしば様のお陰で積年の問題が解決しました。今日のらげしば様とてぃががが様のやりとりをこっそり覗き見してほっこりしました」

   続けて堀内さんは、「どうぶつ島のチョビぐるみ」が自身にとって特に思い出深い作品だったと、ツイッターで振り返った。

「今の会社の立ち上げの際に声をかけたのはチョビぐるみのディレクターで、今も一緒に働いているのは幸運な偶然だったかも。開発を担当してくれた会社のプランナーさんはGBAの『ウルトラ警備隊モンスターアタック』でもご一緒した方でこれまで仕事をした中でもピカイチにゲーム愛を持ってる人でした」

   らげしばさんは取材に対し、攻略に関わった人々への感謝を述べた。

「小学生の時にゲームソフトを貸してくれた友達、一緒に攻略法を模索してくれた協力者様方々、元チョビぐるみゲーム開発のご関係者様、ガチャステダイナデバイス2を持っていた夫、今回の件で祝福してくれた皆様、ありがとうございました。まさかこんなにチョビぐるみが広まるとは思いませんでした。
みなさんも機会があったらチョビぐるみプレイしてみてください」

   そして、今後も同作をやり込んでいくと意気込みを述べた。

「一番メインのオウジ攻略はクリアしましたが、私が管理している攻略ブログにはまだ載せていない情報がたくさんあるのでリストを作りながら少しずつ増やしていく予定です。 もしかしたら自分たちがまだ把握していない裏技やデータがあるかもしれないので今後もチョビぐるみはプレイしていくつもりです」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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