朝日新聞社は2022年7月13日、ニュースサイト「朝日新聞デジタル」の無料会員制度を廃止すると発表した。
有料プランに一本化することで、収益力を高める狙いがあるとみられる。
「よりわかりやすく使いやすいサービスに」
朝日新聞デジタルでは、これまで980円からのサブスクリプション(定期購読)と無料プランの2種類あった。
無料会員は、個人情報を登録すれば、会員記事が月5本まで読めた。しかし、8月22日から無料会員制度を廃止し、朝日新聞社のウェブサービスの共通ID「朝日ID会員」に統合する。
会員記事は閲覧できなくなり、有料プランに一本化される。併せて、コアなファンが多い数字パズル「数独」も有料会員限定サービスになる。ニュースレター、一部の記者サロンは朝日ID会員には引き続き無料で提供する。
正当な対価を支払う読者を増やす狙いとみられるが、朝日新聞社広報部は14日、J-CASTニュースの取材に「朝日新聞デジタルでは昨年創刊 10 周年を迎えて、サービスの全面的な見直しを順次実施しております。今回の無料会員を朝日 ID 会員に統合する取り組みもその一環となります。あわせて、金鍵(編注:有料会員記事)と銀鍵(同:会員記事)の 2 種類あった記事種別を 1 種類に統合することで、お客様にとってよりわかりやすく使いやすいサービスにすることも狙いとしています」と説明した。
試読会員、時限式、バラ売り...
朝日のように、いわゆるメーター制のペイウォール(一部有料化)を設けるニュースサイトは少なくない。まずは無料でサービスを体験してもらい、顧客ロイヤルティー(忠誠度)を高めて課金を促す手法だ。
有料会員数79万(22年1月時点)とデジタルシフトに成功したと目される日経電子版や、読売新聞オンライン、産経ニュースなども無料の会員制度を用意する。
マネタイズ(収益化)手段は各メディアで模索が続いているようだ。業界紙の「日刊工業新聞電子版」は21年11月、朝日と同様、無料会員を廃止し、登録から1か月間、すべての機能が利用できる「試読会員制度」を始めた。
毎日新聞デジタル(当時の名称は「デジタル毎日」)は18年3月、24時間100円で有料記事が読み放題の「ワンデー」プランを導入したが、見込み違いだったのか1年で終了した。
地方紙の「茨城新聞クロスアイ」は、月額プランに加え「バラ売り」を展開する。1記事50円で販売し、Amazonアカウントで支払える。