プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチが2022年7月13日に東京・大田区総合体育館で行われ、王者・井岡一翔(志成、33)が同級1位ドニー・ニエテス(フィリピン、40)を3-0の判定で下し5度目の防衛に成功した。
「井岡は打った後のポジショニングが良かった」
3年7カ月ぶりの再戦は井岡が序盤から的確なジャブで主導権を握った。初戦で勝利したニエテスは右クロスで応戦するも中盤から井岡の一方的なペースに。ダウンシーンこそなかったが、ジャッジのひとりが120-108のフルマークを付けるなどほぼ完ぺきな形でリベンジを果たした。
世界4階級制覇の元王者に完勝した井岡は試合後、リング上で年末の王座統一戦を熱望。ビッグマッチが現実味を帯びるなか、J-CASTニュース編集部は協栄ジムの元会長である金平桂一郎氏(56)にニエテス戦を分析してもらい、今後の展望を占ってもらった。
ニエテス戦の内容を「予想通りでした」と振り返った金平氏は、勝利を引き寄せたポイントのひとつに井岡の「ポジショニング」を挙げた。
「ニエテス選手は前回のように懐に飛び込んでアッパー狙い。だが井岡選手はそれをさせなかった。打った後のポジショニングが良かった。うまくポジションを変えた。動き回るということではなく、打ち終わりの時にうまく立ち位置を変えて的を絞らせなかった。派手さは感じなかったが非常に渋いボクシング。4回以降はほぼワンサイドでした」
井岡のパンチを受け左右の目の上をカットしたニエテスに対し、井岡は顔面に大きな傷を残すことなく試合を終えた。井岡の高度な防御テクニックの証でもある。
金平氏は井岡の堅実なボクシングスタイルを高く評価。世界バンタム級3団体統一王者・井上尚弥(大橋、29)のスタイルと比較しながら次のように持論を展開した。
「地上波の火は消えないでほしい」
「井上選手と比べると派手さはないが、井岡選手を崩すのはなかなか難しい。ボクシングはいかに打たせずに打つか。井岡選手は的確な場面でパンチを打つ。今回はそれを12ラウンド繰り返した。まさに教科書通り、理想的なボクシングでした」
さらに「普通のボクサーに井上選手の真似はなかなかできないが、井岡選手のボクシングは目指すべき理想の形としてお手本になりやすい。例えばボクシングというのはこういう風に構えて打ち終わったらこういう風に動くのだと。強いパンチを振り回すのではなく、きちんと急所に当てていけばダメージが溜まっていくのだと」と続けた。
また、金平氏は今回の世界戦がテレビの地上波で放送されたことに大きな意義があると主張した。井岡VSニエテス戦はTBSが21時から生中継し、インターネットではボクシングファンから喜びの声が上がった。
「時代の流れもありますが、最近はなかなか地上波の全国区でテレビ放送がなく、井岡選手がもし負けてしまったら地上波撤退の流れになったかもしれない。その意味でも井岡選手がいい試合で勝ったのは意義がある。これで次に繋がった。井岡選手は地上波放送の最後の砦だと思っています。日本のボクシング界はテレビと共に育ってきましたので地上波の火は消えないでほしい」
スポーツ紙などの報道によると、井岡は14日に行った一夜明け会見で改めて今後の目標に世界王座統一を口にした。
4階級王者同士の頂上決戦??
— TBSボクシング (@TBSboxing) July 2, 2022
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ#井岡一翔 vs #ニエテス (フィリピン)まで
あと11日??
井岡一翔の世界戦をプレイバック??
第②弾は
2012年WBCoWBA世界ミニマム級王座統一戦
?? #八重樫東 戦????
13日(水)よる9時?#TBS 系列全国生中継??#ボクシング pic.twitter.com/CozoRADIc4