コロナ前にあった「ブームの下地」
「旅ガチャ」商品を販売するのは、鉄道会社だけではない。LCC(格安航空会社)大手のピーチ・アビエーションは21年8月に「旅くじ」を発売。1回5000円で買える「くじ」には、ピーチが就航する国内空港の名前がランダムに書かれ、該当する空港までの航空券購入に使えるポイント(6000円分以上)が手に入る。現在は大阪・心斎橋で販売しているが、過去には東京や札幌、福岡などでも買えた。
なぜ、「旅ガチャ」がブームになっているのか。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は22年7月8日、J-CASTニュースの取材に「どこかに出かけたいと思っているけど、どこに行ったらいいか分からないという若者に刺さっているのではないでしょうか。金額的にもお得で、遊び感覚でどこかに行けるゲーム性も魅力なのだと思います」と分析する。
ランダムに行き先を決めるサービスとしては、日本航空(JAL)が「どこかにマイル」を16年12月から実施。手持ちのJALのマイルを利用して、割安で国内の空港に移動できるというもので、サービス開始当初には旅行好きの間で話題を集めた。
インバウンド需要などで盛況だった旅行業界では、コロナ禍により需要が激減した。鳥海氏は、コロナ前の「どこかでマイル」のヒットが下地にあった中、今回の交通各社の「旅ガチャ」商品の発売には、コロナ禍で旅行を敬遠していた人に旅行の再開を促す意図が込められているのではないかと分析する。
鳥海氏は「旅行はしたいけど、予算が限られているという人の間で、引き続き人気が出るのではないか」と、業界内でのさらなる「旅ガチャ」商品の拡充に期待を示した。