逆転優勝は風前の灯火になっている。巨人が2022年7月8日からのDeNA3連戦で1分2敗と1つも勝てず、最大11あった貯金が底をついた。
首位ヤクルトはコロナ禍に襲われているものの、ゲーム差は13。今後はCS圏内の3位以内に入れるかを考える方が現実的だろう。
「試合に出続けなければ若手は育たない」
大きな痛手は主将・坂本勇人の戦線離脱だ。今月6日のヤクルト戦(東京ドーム)にスタメン出場した際に5回の打席で途中交代。7日の試合前に腰痛で登録抹消された。同日のヤクルト戦から2試合連続遊撃のスタメンで起用されたのは増田大輝だった。
「増田大は代走の切り札で遊撃でのスタメンは今季初だった。高卒2年目の中山礼都を起用すると思われたのですが、左腕の石川雅規、今永昇太と続いたので左打者の中山でなく、右打者の増田大を抜擢したのでしょう。
ただ、試合に出続けなければ若手は育たない。原監督の采配は『左右病』とも揶揄されますが、坂本も後継者の遊撃を育成する意味でも、先発投手の左右関係なく中山を使い続けてほしいです」(スポーツ紙デスク)
中山は実際に結果を出している。
坂本が5月1日に「右ヒザ内側側副靱帯損傷」で1か月以上戦線離脱した際は、廣岡大志が遊撃で起用されたが守備でのミスが目立ちメドが立たなかった。湯浅大も打力が課題で物足りない。そこで抜擢されたのが中山礼都だった。
垣間見えるミート能力の高さ
5月8日のヤクルト戦(東京ドーム)から遊撃で26試合連続スタメン出場。打率は2割前後と1軍の投手への対応に試行錯誤したが、ミート能力の高さは垣間見せている。5月19日の広島戦(東京ドーム)では同点の7回一死二塁で、九里亜蓮のチェンジアップを中前に運ぶプロ初適時打。この一打が決勝打となった。
「坂本が遊撃のレギュラーを奪取したのも高卒2年目です。守備範囲の広さ、ボールさばきで言えば当時の坂本より中山の方が上です。芯が強い性格で物怖じしないのもいい。実戦で使い続ければどんどん伸びると思います」(スポーツ紙記者)
原監督は中山を坂本の後継者に据えるか――。
(中町顕吾)