元TBS記者の山口敬之氏が2022年7月10日、奈良市で銃撃され死亡した安倍晋三元首相をめぐる「誤報」をフェイスブックで謝罪した。
山口氏は8日15時30分過ぎに、安倍氏について「お亡くなりになった」とSNSに投稿していた。だが、搬送先の病院の発表によれば、安倍氏の死亡が確認されたのは17時3分だった。
「安倍さんの生還を祈っていた全ての方々に、深くお詫びします」
安倍氏は8日、奈良市での演説中に銃撃された。山口氏は同日15時36分にフェイスブックで
「救命措置の甲斐なく安倍晋三元首相がお亡くなりになったとの情報が入りました」
などと書き込んでおり、SNSなどで情報が拡散されていた。情報源は「信頼できる情報筋」としていた。
山口氏は10日、「【深く謝罪します】」としてフェイスブックを更新した。病院側の確認前に安倍氏が亡くなったとする情報を発信した経緯について、以下のように説明した。
「情報を下さった方は『(編注・昭恵夫人が)奈良に向かっている』『対面後に蘇生措置を終える」という情報を、誤って私に『奈良に到着した』『蘇生措置を終えた』と伝えてしまったのです。『亡くなったという事ですか?』と確認したら、『そうです』と言われました。念のためもうひと方に電話して確認したところ同様の回答だったため、17時前にFacebookに上記の発信をしました」
山口氏は「これは完全な誤報です」と過ちを認め、「安倍さんの生還を祈っていた全ての方々に、深くお詫びします。私があの時点で申し上げられる事は『蘇生の可能性は極めて低いと政府が判断している』という事だけでした」と謝罪した。
「記者の役割とは何かを改めて見つめ直し、基本に立ち返って研鑽いたします」
山口氏は十分な確証が得られないまま誤報を発信してしまった理由について、以下のようにつづっている。
「あの時私は安倍晋三さんの銃撃という事態の中で、『聞き知った情報はいち早く伝えなければならない』という強迫観念にかられ、しかも情報確認も結果として不十分でした。冷静さを欠いていたと言われれば、その通りだと思います。深く反省し、記者の役割とは何かを改めて見つめ直し、基本に立ち返って研鑽いたします。重ねまして、深くお詫び申し上げます」