ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第58回をお送りします。今回のテーマは「システム障害」についてです。
2022年7月2日、KDDIの通信網において大規模な通信障害が発生しました。auやUQ mobile、povoユーザーの皆さんは、大きな影響を受けたのではないでしょうか。
大規模なシステム障害が発生すると、さまざまな角度から反響が生まれ、拡散されます。時には、過去に起きた同様の事例と比較する動きも。KDDIや過去の事例から印象的な話題を振り返ってみました。
Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>
現場で対応する人への労いが多く寄せられた
通信障害のためデータ通信や音声通話が使えなくなってしまい、スマホが故障したと思った大勢のユーザーがauショップに駆け込む事態が発生しました。同時に、Twitterでは現場で対応する人の苦労話が拡散されました。
auで働く友人を持つというTwitterユーザーは、友人が「今日は一日中謝って終わった」と言っていた、という話を投稿。ショップや営業所に電話をかけてきて電話越しに怒鳴ったり、無言電話をかけたりと悪質な行為をするユーザーが相次いだ、と訴えています。
<auで働く友人「営業所に電話しても直らないことはわかるのに、憂さ晴らしで怒鳴る人や無言電話もあった」お疲れさまでしたとしか言いようがない... - Togetter>
こちらのツイートについて、「店員さんのせいではなく、謝るしかないのにかわいそう」「クレームを言ったらその分早く復旧できるわけじゃない」など、ユーザーに直接対応するスタッフに同情する声が寄せられました。
また、au公式サイトに次々更新された障害報告ページの内容について、「進展がない」という報告が続いていたことも注目されました。
「毎時間エンジニアから『進展なし」と伝えられて、同じ文面をアップし続ける担当者さんもなかなかの試練」と対応する人の心境を想像する声や、「更新しないよりマシだと思う。進展ないことを報告するのも大事」といった対応の意義を評価する声が寄せられました。
<auの障害、報告ページを見るだけで胃が痛い...一時間に一回、進展のない事を淡々と報告せざるを得ないリリース「ある意味これは誠意」 - Togetter>
代表の記者会見での対応を評価する声
7月3日に開かれたKDDIの高橋誠社長の会見について、評価する声もありました。
高橋社長が質問に対して的確に返答したり、慌てることなく冷静に対応したりしている様子をみた技術者は「KDDIに対する好感度がかなり上がった」「KDDIのみなさん、いい上司を持ちましたね」とツイート。
また、「技術畑」の出身である高橋社長の経歴や、KDDIでのこれまでの実績を紹介する人も。
<エンジニアとしてauの会見を見てみたら、幹部たちの聡明さに好感度があがった話「auを選んでよかった」「社長の技術力」 - Togetter>
KDDIのほかにも、トラブルに際して会見を行った経営者が「システムを理解している」という点で評価された例があります。2020年10月に起きた、東京証券取引所のシステム障害に関する記者会見です。
<東証の記者会見は「技術がわかる経営者」「受け答えが理路整然」と絶賛する感想が集まる。なお横山CIOは落研出身 - Togetter>
どういった経緯でトラブルに至ったのかを説明するにあたって、会見に出席する経営者や上層部がシステムを理解していることが望ましい、と考える人は多いかもしれません。
不測の事態が「レア体験」や「教訓」を生むことも
社会的な障害が発生した時、影響を受けた当事者の体験談も注目されやすいポイントです。
今回のKDDIシステム障害でスマホが使えなくなった結果、公衆電話を活用したという報告が相次ぎました。中でも、公衆電話の使い方が分からない人に助言した、という体験談が注目されました。
投稿したTwitterユーザーは、公衆電話の受話器を持ち上げずにお金を入れてしまい、お金が戻ってきて苛立っている人を複数見たそうです。このTwitterユーザーは、計4人に受話器を持ち上げてからお金を入れて使うと教えてあげたとか。
<通信障害で公衆電話を使おうとした人が使い方が分からずキレてるところに遭遇した - Togetter>
不測の事態でふだん使わないツールを使ったり、いつもと違うサービスを受けたりすることを「レア体験」と受け取るTwitterユーザーも少なくなく、これまでもさまざまな体験談が拡散されてきました。
例えば2016年3月に発生したANAでのシステム障害では、日付などを手書きした搭乗券が使用されました。「すごく懐かしいモギリチケット!」「これはこれで味があっていい」と、今では見られなくなった搭乗券に懐かしさを感じる人も。
<ANAのシステム障害で搭乗手続きが昭和レトロなアナログ対応に!「懐かしい!」「即アナログに切り替えられるとか有能」 - Togetter>
これらの珍しい体験談は、多くの人の興味を引くだけでなく、アクシデントが発生した時のための教訓を伝える性質も持っていそうです。
システム障害に関する話題に見る共通パターン
大規模なシステム障害が起きた時のTwitterユーザーの反応について、よく見られたものを総括すると次の3つに集約されました。
・ユーザーの困惑と同時に関係者による対応をねぎらう声が集まる
・組織のトップに立つ人の対応が注目される
・一般ユーザーのレアな体験談が拡散される
発生する原因や環境は変われども、解決までの対応やユーザーの反応が拡散される背景には、ある程度共通したパターンがあるようです。どんなサービスも障害が起きる可能性をゼロにはできません。万が一に備えて過去の事例を知っておくと、自分が当事者になった時に対応を考える参考になるかもしれません。
以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。