高知市の中心部で設置された人気キャラクター「ばいきんまん」の御影石像が、何者かによって持ち上げられて落とされ、左の角(つの)が折れる被害があり、その犯人像に関心が集まっている。
重量は、当初は約100キロと報じられたが、実際は約60キロだったという。犯人は、どんな腕力の持ち主なのか、高知市や設置業者に話を聞いた。
「力の強い警察官が持ち上げようとして、少し浮く程度だった」
「よくこんなの折れたなぁ」「これは相当なパンチ力の有るヤツだな」...
ばいきんまん像が破壊されたと、マスコミ各社が2022年7月6日に報じると、ネット掲示板などでは、その仕業に驚く声が相次いだ。
高知市の観光企画課がJ-CASTニュースの取材に答えたところや報道によると、高さ45センチのばいきんまん像は、人通りが多い電車通り沿いの歩道ベンチに取り付けられていたが、6月19日夜に12センチある角が折れて下に落ちているのを通行人が見つけ、110番通報した。像を管理している市が、翌20日に状況を確認し、高知署に被害届を出した。同署では、器物損壊の疑いで捜査している。
ベンチは、高知北ライオンズクラブから19年10月に寄贈を受け、像はその端に取り付けられていた。ばいきんまん像の角は、根元からポッキリ折れており、像の後頭部や後ろ側にある歩道の縁石には、落とした跡と見られる傷が付いていたという。
犯人は手で持ち上げて落としたとみられるというが、どのくらいの力が必要なのだろうか。
「力の強い警察官が持ち上げようとしましたが、1人では若干浮く程度でした。力持ちなら上げられますが、普通の人は難しいと思います。バールなど工具を使った形跡はなさそうで、手で持ち上げたのでしょう。もちろん複数犯も考えられます。角は、手で折ったのではなく、像そのものがかなり重いので、低い高さから落としてもその衝撃で折れたのだと思います」
市の観光企画課では7日、取材にこんな見方を示した。
接着剤が乾燥して劣化が進み、その能力が落ちていた?
ばいきんまん像は、ベンチに約5センチの鉄のアンカーボルトが突き出ており、そこに差し込む形で取り付けられていた。壊されて発見されたときは、固定金具のアンカーから外され、その横に置かれていたという。
アンパンマンやばいきんまんの生みの親の漫画家やなせたかしさん(故人)の出身地である高知県内には、シリーズのキャラの像があちこちに設置されている。
今回の像が壊されたのは初めてだそうだが、報道によると、県内では、別のばいきんまん像が過去に2回、角が折られる被害に遭っている。2009年に南国市内の像が壊されたほか、20年には高知市内の中央公園にある像が壊された。
高知市内には、キャラの像が合わせて18体あるが、ばいきんまん像だけがなぜかターゲットになっている。
中央公園の像は、角をくっつけるのに約10万円の費用がかかったといい、市では、今回も同程度の費用になる見通しだとした。今後は、接着剤や樹脂で像を固定して、持ち上げにくいように対策を取りたいとしている。
ばいきんまん像を設置した業者は7月7日、取材に次のように語った。
「接着剤を着けて鉄のアンカーにはめ込みましたが、半永久的ではなく、乾燥して劣化が進み、接着能力が落ちていたのではないかと考えています。子供の力では難しいですが、とても力持ちの大人なら、蹴飛ばすなどしてから、1人で持ち上げることも可能だと思います。像を設置した者として、ああやって壊すというのは、腹立たしいですね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)