ビザ取得に時間がかかるので「だったら日本は後回しにして、他に行こう」
国際線については、水際対策の緩和を求める声が相次いだ。芝田氏は、7~8月の業績は上振れを予想しているとする一方で、
「海外のお客様からは『日本に行きたいがビザの取得が非常に煩雑だ』という声や、『団体ツアーではなくて個人旅行でも是非行きたい』、こういう声を遠くいただいている。是非入国規制をG7と同じレベルまで緩和していただきたいというお願いは、引き続きしていきたい」
などと述べた。井上氏は、需要回復の障害として、(1)ビザが必要になっている(2)日本に向けて出発する際のPCR検査(3)個人旅行が解禁されていない、という3点を指摘。特に(1)は、ビジネス上の機会損失が生まれていることを指摘した。井上氏によると、4月以降はビジネスパートナーとオフラインでコミュニケーションする機会が増えているが、そんな中で「日本パッシング」が起きていると説明した。
「今何が起きているかというと、日本パッシングだ。ビザを取るためには、日本大使館や領事館にパスポートを預けるが、その時間が、まどろっこしいぐらいに世界の経済が動いている。だったら日本は後回しにして、他に行こう、こういうムーブメントが起きている。これは日々実感することだ」
(3)についても、コロナ前のインバウンド需要の8割は個人観光客が支えていたとして、個人客が解禁されない以上「なかなか上振れしない」とした。
ANA HDも加盟する日本経済団体連合会(経団連)など9団体は6月10日、日本政府に対して水際対策緩和を求める声明を出している。「G7諸国並みの入国管理」の具体的内容として、「個人の訪日観光客受入れの早期再開」「出国前検査において、より負担の少ない検査方法の利用やさまざまな形式の検査証明書での結果の提出を有効な要件として認める」「すべての国・地域からの帰国者・入国者について、検疫所による入国時検査を撤廃」など5項目を挙げている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)