北朝鮮から外交官ら「脱出」続々 ロシア外交官はSNSで嘆き

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   事実上の鎖国状態が続く北朝鮮の首都・平壌で、今でも外交官の国外脱出が続いている。平壌のロシア大使館では、2021年2月に大使館員とその家族が手押しトロッコを使って国境の豆満江に架かる鉄道橋を渡り、ロシアに帰国。その動画や写真をロシア外務省が公開したことが話題になった。

   22年7月4日にも、ロシア大使館とモンゴル大使館のスタッフが帰国の途についた。今回は「北朝鮮側の好意により、特別列車で」の帰国だ。ただ、相変わらず新規入国はできない状態で、代わりの要員は送られてこない。大使館のSNSには、「業務をさらに少ない人員でこなすことになる」といった愚痴に近い声も書き込まれている。

  • 鎖国が続く北朝鮮から、ロシア大使館のスタッフの一部が帰国した。駅のプラットホームで20人ほどが集合してポーズを取っている(在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックから)
    鎖国が続く北朝鮮から、ロシア大使館のスタッフの一部が帰国した。駅のプラットホームで20人ほどが集合してポーズを取っている(在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックから)
  • 列車の中から見送りの様子を撮影する人も(在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックから)
    列車の中から見送りの様子を撮影する人も(在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックから)
  • 鎖国が続く北朝鮮から、ロシア大使館のスタッフの一部が帰国した。駅のプラットホームで20人ほどが集合してポーズを取っている(在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックから)
  • 列車の中から見送りの様子を撮影する人も(在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックから)

「防疫措置のため、2年半前から国境が閉鎖されたままなので...」

   北朝鮮国営メディア以外の現地情報を伝える貴重な存在が、在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックだ。そのページに7月4日、1分弱の動画が掲載された。駅のプラットホームで20人ほどが集合してポーズを取っている動画だ。書き込みについている説明では、

「7月4日、駐朝ロシア大使館の職員とその家族の一団が、海外勤務期間の終了に伴い、北朝鮮側の好意により特別列車で平壌から帰国の途についた」

という。ただ、人員は純減で、その理由を

「北朝鮮指導部による防疫措置のため、2年半前から国境が閉鎖されたままなので、今回も人員交代は行われなかった。今後は、大使館の業務をさらに少ない人員でこなすことになる」

とも説明している。一方で、帰国したのは外交官の家族や外交官以外の大使館スタッフだったようで、

「外交官の人数が変わらないのは、本当に幸いなことだ」

ともつづった。

大半の国が外交官退避&大使館閉鎖

   北朝鮮では22年5月になって、新型コロナ感染者の発生を公表。一時期平壌は都市封鎖(ロックダウン)されたが、その後緩和されたとみられる。

   フェイスブックの書き込みでは、スタッフの帰国の様子を

「平壌駅では、出発する人たちに別れを告げ、同じ列車で帰国するモンゴル大使館の同僚たちにも旅の安全を祈った」

とも伝えている。

   平壌には西側諸国も大使館を置いている。ただ、少なくとも英国、ベネズエラ、ブラジル、ドイツ、イタリア、ナイジェリア、パキスタン、ポーランド、チェコ、スウェーデン、スイス、フランス、インドの大使館や代表部はすでに閉鎖。現地駐在を続けているのは、中国やロシアなど、ごく少数だ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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