プロボクシングの世界2階級制覇者で元WBO世界バンタム級王者ゾラニ・テテ(南アフリカ、34)が2022年7月2日(日本時間3日)、英ロンドンでスーパーバンタム級12回戦を行い、ジェイソン・カニンガム(英国、32)を4回KOで下した。
19年11月にはカシメロに3回TKO負け
試合が決したのは4回だった。中間距離から左ストレートでダウンを奪ったテテは、カニンガムが立ち上がってきたところを猛攻。左右のパンチをカニンガムに浴びせ最後は下から突き上げた左がアゴを捕らえ豪快に倒した。21年12月の再起戦に続き2連続KOをマークした。
WBO世界バンタム級の正規王者だったテテは、19年11月に暫定王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン、32)との王座統一戦に臨み3回TKO負けで王座陥落。一方、王座統一に成功したカシメロは以後、同王座を2度防衛したが、今年5月に防衛戦を2度キャンセルしたことでWBOから王座をはく奪された。
テテがWBOの王座を保持していた当時、井上尚弥(大橋、29)は対抗団体のWBA、IBF世界バンタム級のベルトを持っていた。「モンスター」の愛称で世界に売り出し中だった井上に対してテテは対戦を呼びかけ、再三にわたり挑発した。ところがカシメロに敗れたことによりバンタム級戦線から脱落し、井上との対戦の可能性が消滅した。
テテに代わりバンタム級戦線に浮上したカシメロもまた、井上との対戦を熱望して過激な言葉で挑発を繰り返してきた。カシメロはリングに上がることなく王座はく奪の憂き目に遭い、こちらも井上戦の可能性が消滅。現WBO王者ポール・バトラー(英国、33)が井上との王座統一戦に出場する可能性が高まっている。
ファン「パンチのキレは健在」
王座陥落から3年を経て34歳となったテテ。今回は階級を1つ上げてスーパーバンタム級でのリングとなったがパンチのスピードと左右の強打に衰えは見られなかった。
試合の結果を伝えたドイツ専門メディア「Boxen1」(WEB版)は、印象的な勝利を飾ったテテは世界タイトル戦に向けて正当な希望を持つことが出来ると評価した。
スーパーバンタム級は井上が次なる目標に掲げる階級。年内にバンタム級4団体を統一した暁には階級を上げることを公言しており、バンタム級では対戦が実現しなかった両者が再び同じ階級で頂点を目指すことになりそうだ。
このような背景もありインターネットではテテのファイトぶりに日本のボクシングファンが反応。ツイッターでは「カシメロに敗北した時よりもキレが増している」「パンチのキレは健在」「今回の勝利で確実にスーパーバンタム級の世界戦線に絡んできそう」などのコメントが寄せられた。
WOW! ??
— Boxing on BT Sport ?? (@BTSportBoxing) July 2, 2022
Zolani Tete defeats Jason Cunningham in explosive fashion in the fourth round! ??
Jason Cunningham looks to be ok.#JoyceHammer pic.twitter.com/V1Vtidul8s