自動車学校の教官は厳しくあるべき? 教習所めぐる議論に見た「認識の違い」とは

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   ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第57回をお送りします。今回のテーマは「自動車教習所でのエピソード」についてです。

   警察庁が発表した「運転免許統計(令和3年)」によると、普通自動車免許を持っている人の約98%が教習所で自動車免許を取得しているそうです。多くの人が何らかの形で教習所に通った体験を共有していることもあってか、自動車教習所に関する話題はさまざまな視点で拡散される傾向にあります。

Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>

  • 教習所あるあるはなぜ盛り上がるのか
    教習所あるあるはなぜ盛り上がるのか
  • 教習所あるあるはなぜ盛り上がるのか

合宿免許の思い出

   免許を取る手段の一つとしてメジャーな「合宿免許」。日常生活から離れた場所で、集中して免許取得に勤しむという特殊な環境も相まって、ユニークな体験談が拡散されやすい傾向にあります。

   お笑いトリオ・グランジの五明拓弥さんによる漫画『39歳の免許合宿』は大きな注目を集めました。

<「免許取ってさわやかに行きませんか?」の一言から始まるマンガ『39歳の免許合宿』が大人の青春過ぎて胸を打たれる -Togetter>

   描かれているのは教習所の個性的な教官たち、一緒に参加したミュージシャンのimaiさんと繰り広げる大人の青春、合格発表までの緊張とドキドキなどなど。漫画を読んだだけで合宿免許を追体験している気持ちになるリアルさがあります。

   合宿免許で提供された食事のクオリティの差が話題になることも。

<合宿免許での朝食があまりにも質素なものだった→リプライに他の合宿免許のご飯も集まり、免許所毎の差を実感させられる -Togetter>

   あるTwitterユーザーが「朝食貧しスギィ」というコメントとともに投稿した写真には、ご飯に味噌汁、ふりかけのみの簡素な朝食が。見た人から「病院食より少ない」など同情の声が寄せられました。

   このツイートに対して、自分が通った合宿免許の食事を投稿するユーザーが次々に現れました。ビュッフェ形式の豪華な食事もあれば、パン1枚にコーヒーだったというツイートもあり、宿泊施設によってクオリティに差があることがわかります。

   このように、合宿免許での話題は参加経験がある人はもちろん、参加していない人も「どれどれ」とのぞいてみたくなる魅力があります。

教習所に厳しい教官がいる理由は

   教習所で最も近くにいる存在である「教官」も外せないテーマです。教習所の教官が怖かった、厳しかった、横柄だったといったエピソードは特に多く見受けられます。

   たとえば、質問サイトに寄せられた「なぜ教習所には横柄な態度の教官がいるのか」という投稿をきっかけに作られたまとめがあります。

<【恐怖政治】自動車教習所の教官には苦い思い出しかない -Togetter>

   質問者は、横柄な態度の教官に疑問を呈し、教習所はサービス業なのだから態度を良くしてほしいとしています。

   この主張について「人命に関わる先生だから」「訓練中修行中は厳しくないと身にならないと思う派」と厳しさを許容する声が出ました。一方で「厳しいと悪態は別」という声や、厳しい指導で上手くいかなかった車庫入れが優しい教官の時はうまくできた、という体験談も。

   また、そもそも教習所をサービス業だとすることに疑問を呈する意見もあり、教習所に対する認識が人によって大きく違うことが分かります。

   教習所の厳しさについて、ある教官の指導が「お前たちは今から無差別殺戮マシーンの操縦方法を学ぶ」という衝撃の一言から始まったというエピソードも話題になりました。

<自動車教習所の教官が云った言葉がインパクトあったお話 -Togetter>

   その教官は冗談ではなく本気で自動車のことを「無差別殺戮マシン」と表現したようで、誰に対しても平等に厳しい指導をしていたそうです。

教官とのおもしろいやり取りも人気

   もちろん怖い教官ばかりではありません。

   あるTwitterユーザーが出逢った教官は「ハンドルのことはかわいいヒヨコだと思って!」と優しく握るよう指導。投稿者がハンドルを強く握ってしまうと「死んだ!ひよこが今死んだよ!!ひよこかわいそうだねえ!!」と言われたそうです。

<教官「ハンドルのことはひよこだと思って!」「ひよこかわいそうだねぇ!!」自動車教習所での印象深い教え方 -Togetter>

   こちらのツイートをきっかけに、「シフトノブは卵だと思って」と指導された、バイク教習でウインカーを消し忘れて「ホタルちゃん」と呼ばれ続けたなど、教官とのおもしろいやりとりが集まりました。

   印象的なツイートに対して他の人からもエピソードが自然に集まり、さながら「全国おもしろ教官名鑑」のようになるのは、Twitterならではの広がり方と言えるでしょう。

運転そのものがつらい人もいる

   運転に苦手意識がある人にとっては、教習所がつらい経験になってしまうことも。

   「絶対に運転したくない!」と思いながら教習所に通っていたTwitterユーザーは、免許を取得して「やっとこれで運転しなくて済む」とホッとしたそうです。

<自動車学校で「絶対運転したくない!」と思いながら運転していたので車の免許を取り「やっとこれで運転しなくて済む」と安堵した。-Togetter>

   「教習中、最初から道に出てはダメな人間な気がしていた」「とっさの判断に弱すぎる自負があるので運転しないのが世のためだと思ってます」と同じく運転が苦手な人からの共感の声が続々と集まりました。

   運転が苦手でも、家庭や仕事の事情で運転免許が必要になることもあります。教習所が辛かった話題が注目されるのは、そうした人も多いことの現れなのかもしれません。

バズる要素がバランスよく含まれている

   自動車教習所の話題がTwitterで盛り上がる理由として、考えられるのは次の3つです。

・多くの人が経験するライフイベントのため、体験を共有・共感できる人の数が多い
・免許取得の中に、語れるトピックスの角度がたくさんある
・地方や教習所によって特色があり、違いを知る楽しさがある

   自動車教習所の話題は、「共感」と「多様性」の両方をバランスよく含む領域だからこそ、定期的に拡散されるのでしょう。

   以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。

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