「ビールの食品サンプル」導入の本当の理由
池田さんによれば、ビールの食品サンプルを導入したのは4年ほど前。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う酒類の提供停止を受けて、一時は撤去していたものの、22年3月にまん延防止等重点措置が解除されたことを受けて再導入した。
「駅前にある当店には、働いている方が多く訪れますので、応援の気持ちで置かせいただきました。居酒屋でしたら大人数で1,2杯飲まれると思うのですが、当店は一人で来店されるお客様が多いです。
食事をメインとしながらもその後に1杯、ゆっくりしていって欲しい気持ちがありました」
疲れたサラリーマンに癒しを届けたいと始めた取り組み。池田さんによれば、ビールの売り上げに変化はなかったが、サンプルに張り付けられたメッセージをじっくり読んでいく客が見られるようになった。ほおを緩ませる客を見かけると、嬉しくなるという。サンプルは店内に8つほど置いてあり、それぞれ異なるコメントを記している。
「『そんなこといいじゃんビールあるよ!』については従業員から『上から目線ではないか』という指摘も受けましたが、同僚が会話の中で自然と発した声をイメージしていただけますと幸いです」
池田さんの取り組みは、CoCo壱番屋のオーナー間でも話題になったそうで「話題になっているね」と声をかけられることもあったという。SNSでも好意的なコメントが多く「お褒めの言葉を多くいただけたのはありがたいです」と感謝した。
「お客さんに喜んでもらいたいという思いから様々なことに取り組んでいます。満足感だけではなく、何か『来てよかった』と思える体験を残せるようにしたいです。遊園地に訪れた時のような非日常の感動をお届けできるよう、従業員と力を合わせて取り組んでいます」
今日の昼メシはココイチなんだがカウンターの各席に生ビールジョッキの食品サンプルを置くマーケティング強すぎるだろ pic.twitter.com/E6nMtOCIdb
— 野島慎一郎|B級フード研究家・ライター (@aochins8) June 27, 2022