尼崎市のUSB紛失したのは「再々委託業者」 「コスト高」の指摘あるのに、なぜこんなことが起こるのか

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「専門性が高い業務などで多いが、一部で丸投げの可能性もある」

   なぜ業者が再委託などをするのかについて、主な情報サービス会社でつくる情報サービス産業協会(JISA)の担当部長は29日、取材に対して次のように話した。

「技術的に専門性が高い分野で再委託先などの会社にしかないものを調達するときや、スタッフ数十人を手配しなければならないなど量的に必要なときに、複数の会社に再委託、再々委託として手配することがあります。ただ、元請けの事業者が全体の管理・監督をしないといけませんので、責任を持ってできない可能性があるとして、最近は、多層契約を行わないようになってきていますね。下請けは、1次、2次までと、再委託の制限をかけるところも多くなっています」

   業者が中抜きなどをする目的もありうるのかについては、「一部で丸投げするようなところが残っているかもしれませんが、しっかりした事業者は、1次、2次まで委託に制限をかけていると思います」と答えた。

   今回の再委託などについては、次のように指摘した。

「詳細がまだ分からないこともあり、即問題だとは思っていません。個々の契約をきちんと履行しているのか、行政も契約内容を確認してやっているのか、がポイントになると思います。発注、受注者の責任を明確にしないといけないでしょう。特に、行政の仕事では、委託業者が再委託するときは、行政に確認して了承を得ることが契約にうたわれているはずです。それも、業者が丸投げして外部委託するのではなく、再委託は50%までなど業務に制限をかけていることがほとんどだと思います。業務内容を契約通りやっていなければ、是正する必要がありますね」

   なお、公正取引委員会は29日、ソフト会社2万社強にアンケートした結果をまとめた「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」を発表し、不必要な「中抜き」による下請けへのしわ寄せ行為に対し、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)などでの摘発を強化することを明らかにした。

   アンケートによると、調査対象になった企業全体の26%が「中抜き事業者の存在を感じたことがある」と回答していた。公取では、契約内容の明確化や「多重下請け構造」が指摘される供給網のスリム化を各社に呼びかけている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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