多様化するニーズ、専門家は「インフラ」と指摘
しかし、必ずしもネガティブな話ばかりではない。NTTBPの担当者は「数多くのWi-Fiスポットを展開していたオーナー様が撤退された影響でアクセスポイントの数は減りましたが、SSIDの数(サービスの数)は右肩上がりで伸びています」と話す。
かつては集客効果を目的に大規模チェーンがWi-Fiを導入するケースが目立っていたが、近年は非チェーン店のカフェなど、小規模事業者での導入例が増えているという。ライブ会場の演出に用いるための導入例や、ホテルの外国人向けWi-Fiをコワーキングスペースやワーケーション向けに転用するケース、企業レクリエーションで社員がeスポーツをする際の整備事例もある。
担当者は「ひと昔前まで集客ツールのひとつとして位置づけられることが多かったですが、いまやフリーWi-Fiは『あって当たり前』のサービスになってきています」とし、そのニーズが多様化したと説明する。防災や防犯上の観点から、自治体などがフリーWi-Fiを導入するケースも増えているという。
22年6月10日には外国人観光客の受け入れが再開されたが、以前のような盛況ぶりとはほど遠い。それでも6月現在、フリーWi-Fiのトラフィックはコロナ前に近い水準まで回復してきているという。担当者は「Wi-Fiだけに関わらずオーナー様の新たなビジネスにつながる無線の使い方を提案していけたらと思っています」と今後を見据えた。
フリーWi-Fiの今後を、専門家はどう見ているのか。ITジャーナリストの三上洋氏は6月6日、J-CASTニュースの取材に「スマートフォンの『使い放題プラン』や『格安大容量プラン』が普及したことで、以前のような需要は見込めないかもしれない」と話す。
その一方で「安い料金プランを使っている若年層や、訪日外国人の需要は見込めるでしょう。カフェなどでは、今やないとすごく不便なところもあります」とし、今後は一種の「インフラ」としての役割を果たすのではないかとの見方を示した。
(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)