「この人達なら一緒に店をやりたい」 閉店する東京最古のジャズバー「シャルマン」の意志継ぐ店ができるまで

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シャルマンから引き継ぐものとは

   モダンジャズPlayer's Bar Rを手伝う常連の気持ちは様々だ。

   5人の中で最も若手の堀江さんは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言後、外で音楽を聴ける場所を探し求めてシャルマンにたどり着いた。シャルマンに通った期間は短いが「若い人も含めてシャルマンのような純粋に音楽を楽しめる場所を引き継ぎたい」と話す。将来的に自分の店を持ちたいという思いもあり、店を手伝うことにしたのだという。

   この日、カウンターに立っていた滝花誠吾さんはシャルマンの良さをこう語る。

「シャルマンの好きなところは何と言っても、普通のジャズ喫茶とは違ったハードボイルドなところ。硬派な感じがしました」

   シャルマンは昭和の外観を残したビルの2階、暗くきしむ階段を上がった先にある。レコードがひしめく暗く狭い店内に、大音量のジャズが響き渡り、知らない人を寄せ付けがたい雰囲気を放つ。しかし一旦入店すると別の顔を見せる。

「シャルマンの1番いいところはお客さん同士が友達になれること。見ず知らずだった常連5人が一緒にお店を手伝うことができたのも、その典型的な例でしょう。交流できる場だったんです。
中年も多いけれども若い人もいる。普段は関わりのない職種の人の話もいっぱい聞くことができて面白いです」(滝花さん)

   モダンジャズPlayer's Bar Rには、リクエストの多いレコードは揃っているものの、シャルマンの8000枚には到底及ばない。約1200枚のレコードが新設された戸棚に並ぶ。店内はシャルマンと比べれば広く、今風でおしゃれだ。シャルマンとは異なる趣を持つ。

「5人集まって一つのことに取り組むと、それぞれ違う思いを抱えています。すり合わせていくのはとても難しいです。なかなか意見はまとまらないし看板も決まらない、思うようにいかない。チラシ1枚作るのも相当な日数がかかりました。
それでも音楽を通してリラックスできる場所、交流できる場所を残したいという思いは共通していました。この店にハードボイルドさは感じないけれども、ジャズ喫茶でありながらフレンドリーでリクエストされたレコードを回す。そういったところはシャルマンから引き継がれていると思います」(滝花さん)

   それぞれ異なる思いを抱えながらも、ジャズを楽しめる場を残したいという気持ちは共通していた。

   この日は、シャルマンの常連たちが10人ほど訪れた。「楽しみにしていました」と笑顔で扉を開け、ゆったりとレコードの音に耳を傾けたり、店を運営する常連たちとの会話に花を咲かせたりしていた。谷中から千駄木へ、東京の下町・谷根千にシャルマンのモダンジャズは残り続ける。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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