「この人達なら一緒に店をやりたい」 閉店する東京最古のジャズバー「シャルマン」の意志継ぐ店ができるまで

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「定年したらシャルマンのカウンターに立つのが夢でした」

   「モダンジャズPlayer's Bar R」のリニューアルオープン初日、店内にはエプロンを着てレコードを磨く坂下さんの姿があった。店に持ち込まれた音響機材は、真空管アンプを除いてすべて坂下さんの私物だ。早坂さんによれば、ジャズ喫茶で用いられるオーディオシステムとしては上位のもので、シャルマンと同等かそれ以上だという。

   坂下さんは週3日の営業日の全てに顔を出す予定だという。

「定年したらシャルマンのカウンターに立つのが夢でした。家では大きな音を出せないので、店で人々とジャズを共有して交流することを楽しみにしていました。昨今は会話禁止の店も多いですが、モダンジャズPlayer's Bar Rはシャルマンのように、ジャズ好きやこれからジャズを知りたい人々の交流の場としていきたいですね」(坂下さん)

    坂下さんの本業は技術系で、シャルマンではオーディオ機器のメンテナンスを手伝っていた。モダンジャズPlayer's Bar Rに持ち込まれた真空管アンプは、石岡オーナーの許可を得てシャルマンから引き継がれた。壊れていたため長らく使われていなかったが、坂下さんが修理した。

   レコードの音に触れた塚本オーナーは次のように感動を伝えた。

「レコードがこんな音を奏でるとは思わず、びっくりしました。もっとノイジーなものだと思っていました。本当にクリアな音で、音のない静かな感じと音が出る時のメリハリがしっかりしています。スピーカーの大きさにも驚きました」

   その日、シャルマンの石岡オーナーも来店した。モダンジャズPlayer's Bar Rには定期的に通いたいと話す。

「とにかくスピーカーの切れ味がいい。アンプはシャルマンとほとんど同じだけど、シャルマンのは古くてへたってるからね。ものすごくいい、聞いていて楽しい。初めて来たけど感動しました。将来、店でライブできる可能性があるというのも面白いと思います。スモールなコンボから、2~5人くらいの編成はできそう。期待しています」

   石岡オーナー自身がモダンジャズPlayer's Bar Rを手伝う予定はないという。年齢のこともあり、シャルマンの閉店とともに引退を考えている。「早坂さんや坂下さんはシャルマンの音を聞きつくしてるから、ジャズバーの運営は楽々できると思う」と信頼を寄せた。

   そんな石岡オーナーに、5人の常連たちはサプライズで花を贈った。これまで店を続けてきたことへの感謝だという。石岡オーナーは驚きながらも笑顔で花を受け取った。

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