日本航空(JAL)などが出資する格安航空会社のジェットスター・ジャパンは2022年6月30日、現行のエアバスA320型機よりも大型のA321LR型機のチャーターフライトを運航した。
7月1日から国内線の定期便として運航が始まる予定で、ジェットスターのA321LRが乗客を乗せて運航するのは今回が初めて。片岡優社長によると、この機種は事業のあり方を変える可能がある「ゲームチェンジャー」。従来機よりも座席数が増えた上に燃費が良くなったため、「よりたくさんのお客様に低運賃を体験いただける機材」だとアピールした。コロナ禍からの需要回復が比較的早い路線に優先的に投入し、競争力を高めたい考えだ。
シャークレットにロゴが入って「SNS映えする『映え映え』な写真が撮れる」
現時点でジェットスターは、中型旅客機のA320型機のみを使って運航している。A320は180席を備えるのに対して、A321LRは32%多い238席ある。航続距離は3000キロから5500キロに伸びた。新型エンジンの搭載で燃費が向上し、機内の騒音も半分程度になった。デザインも一新し、尾翼をジェットスターのコーポレートカラーのオレンジで彩った。
片岡氏は出発セレモニーで、「よりたくさんのお客様に低運賃を体験いただける機材」だと述べ、航続距離が伸びたことから「将来はより遠い、国際線に使用できる機材でもある」とも話した。
内装面では、モバイル端末ホルダーやUSBポートを座席に設置。窓から見える景色も若干変わりそうだ。主翼の先についている板状のウィングレット(エアバス機では「シャークレット」)に、新機種ではジェットスターのロゴが入ったためだ。案内役の副操縦士は
「このきれいな青空と白い雲とオレンジのシャークレット、ジェットスターのロゴが全部入って、SNS映えする『映え映え』な写真が撮れるようになったのでは」
と猛アピールしていた。
富士山頂は雲だらけだったけど...
チャーターフライトは11時頃に成田空港を出発後、富士山の北東にある山梨県北杜市上空を旋回。山頂が雲で覆われていたものの、高度2万フィート(約6100メートル)から富士山見物を楽しんだ。機内ではロゴが入った特製どら焼きが振る舞われたり、片岡氏が搭乗証明書を配ったりした。愛知県東部で東向きに方向を変え、浜松市上空、三宅島付近を通って13時過ぎに成田空港に戻った。
A321LRは7月1日から定期便として運航が始まる。10月末までの夏ダイヤ期間は、1日3往復(成田-福岡を1往復、成田-札幌(新千歳)を2往復)運航する。全3機の導入を予定。今回導入される1号機は6月12日に成田空港に到着したばかりだ。2号機は22年中、3号機は23年以降に運航を始める。
片岡氏は4月14日の記者会見で、「コロナ以降、かなり路線によって格差が出てきている」として「戻りが遅いのが地方路線」などと話した。成田-福岡や札幌線は需要の戻りが早いことも明らかにしている。こういった路線に新機材を投入することで、需要を取り込みたい考えだ。