「無個性な迷惑行為」が「冷めた嫌悪感」を呼ぶ
今回の騒動は、かつて起きた騒動への「原点回帰」なのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は次のように話した。「原点回帰」ですらなく、「バカッターをまたやっただけ」だと表現した。
「『原点回帰』となるとあたかも、新しい要素を伴いつつブームが再興したかのような印象が出てしまいます。そうではなくて、今回の一件は迷惑行為の後にアイスを購入したとみられる投稿があったものの、炎上のきっかけになった投稿には新しい要素は見当たりません。要は、『バカッターをまたやっただけ』と言えば良いでしょうか」
さらに、井上氏は新しい要素がないがゆえに、今回の投稿はネット上で話題に上ったという皮肉な一面を指摘した。
「今回の一件は『新しい要素がない』という点に対し、『何をやっているの?』という冷たい目線が注がれたように思います。音楽家という、世の中から『個性』を要求されているであろう人が新しくないこと、つまりは無個性な迷惑行為をやっているというのが、ネットユーザーに『冷めた嫌悪感』とでもいうものを抱かせたのではないでしょうか」
加え、井上氏は新型コロナウイルスの流行状況も絡めて、今回の騒動を総括した。
「2021年の6月にはコンビニ、ピザ店、カレー店で『バカッター』の店員版たる『バイトテロ』が相次ぎました。当時、これらの騒動が起きた際に、コロナはまだ猛威を振るっていました。しかし、現在はコロナの勢いは以前ほどではなく、このため、社会の閉塞感や俗にいう『コロナ疲れ』は21年ほど強いとは言えないと思います。このような状況下では、ネットユーザーとしては『コロナで若者が抑圧され、迷惑行為でストレスを発散した』といったお目こぼしをする人は少ないと思います。かといって、迷惑行為を看過するわけにもいかないので、怒りの視線の中でというよりは、冷たい視線が集まる中で炎上したと言えば良いのではないでしょうか」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)