井上のパンチは「過去に受けたパンチの中で一番強かった」
ドネア・シニア氏がドネアのスーパーフライ級に言及した背景には、過去のドネアの発言が関係しているとみられる。
ドネアは20年10月に海外専門メディアの取材に対して、バンタム級の世界王座に返り咲いた暁には階級を1つ下げてスーパーフライ級の世界王座に挑戦する意向を示していた。世界5階級制覇のドネアはスーパーフライ級も制しているものの、09年に獲得したのは暫定王座だったため、完全なる世界5階級制覇達成をするために正規王座獲得を目指していた。
当時、スーパーフライ級は、WBA王者ゴンサレスをはじめ、ファン・フランシスコ・エストラーダ(WBC=メキシコ)、井岡一翔(WBO)、ジェルウィン・アンカハス(IBF=フィリピン)ら強豪王者が君臨しており、その中でドネアはゴンサレスとの対戦を望んだ。
新型コロナウイルスの影響などもあり、ドネアの青写真は実現せず21年5月にWBC世界バンタム級王座を獲得すると、同年12月に暫定王者との王座統一戦に勝利。そして今年6月7日に井上との再戦で王座を失った。
ドネアの進退に関して地元メディアも注目しており、なかには引退を勧告するボクシング・アナリストもいる。井上戦後、所属するプロモート社を通じて「過去に受けたパンチの中で一番強かった」と振り返ったドネア。今後の言動に注目される。