ファクトチェック団体、参院選へ取り組み強化 選挙期間中の「自粛のような雰囲気」改める必要指摘

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   参院選(2022年6月22日公示、7月10日投開票)が目前に迫る中、ファクトチェックを支援する国内団体「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)が6月20日、参院選向けのプロジェクトを立ち上げたと発表した。

   ファクトチェックに取り組むメディアの記事が一覧できる特設サイトを立ち上げたり、討論会の文字起こしを提供したりして、検証作業を側面支援する。

  • 参院選は6月22日公示、7月10日投開票の予定だ(写真はイメージ)
    参院選は6月22日公示、7月10日投開票の予定だ(写真はイメージ)
  • 参院選は6月22日公示、7月10日投開票の予定だ(写真はイメージ)

討論会の文字起こしを提供して検証しやすく

    FIJが選挙に関するプロジェクトを行うのは、今回が5回目。21年の衆院選では、33本の記事が公開された。例えば毎日新聞は、「選挙機材大手『ムサシ』大株主は安倍元首相」という、ネット上でささやかれる情報の真偽を検証。有価証券報告書の記載を根拠に、この情報は「誤り」だと判断した。

   今回の取り組みは(1)特設サイトの開設(2)疑義言説モニタリング体制の強化(3)各政党へのファクトチェック取材協力要請、の3本柱。(1)では、FIJが定めたガイドラインを活用するメディアの記事を一覧できるようにする。現時点では9媒体がそれにあたる。(2)では、「疑義言説」と呼ばれる、検証が必要な情報を集める要員を通常の1.5倍に増やす。討論会をはじめとする政治家の発言を文字起こしした上で、意見や解釈ではなく事実関係に関する部分にマーカーを引いて提供。検証のきっかけにしてもらう。(3)では、各政党に事前にファクトチェックに関する取材が来る可能性を知らせ、スムーズに対応しやすくする。

「選挙期間中の迅速なファクトチェックが重要」

   韓国では日本よりも大規模に検証作業が行われている。20年4月に行われた国会議員の選挙では、ソウル大学の「ファクトチェックセンター」のプロジェクトに30超の媒体が参加し、58本の検証記事を出した。例えば「投票時に投票用紙を撮影しても罰せられない」という情報は公共放送のKBSと中央日報が検証。「大部分は真実ではない」と結論づけた。

   FIJの楊井人文事務局長は、この状況を

「短期間の選挙期間においてファクトチェックの結果を、より多くの人に周知するには、テレビも非常に重要な役割を担っている、というのがアジアでの傾向」

とみる。一方、日本では「選挙期間中は非常に、それぞれの政党を平等に扱うということにすごく重きが置かれ、なかなかクリティカル、批判的な指摘をすることがしにくい、自粛のような雰囲気になりがち」。この傾向を改める必要性を改めて指摘した。

「投開票の前に、有権者が投票する判断材料として様々な検証をメディアはしておく必要があるのではないか。選挙期間中の迅速なファクトチェックが重要」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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