2022年6月19日投開票の東京都立川市議選(定数28)で、選挙公報の遅配が続出するトラブルが起きた。
当日までに届かなかったり、複数受け取ったりした市民もいるとみられ、SNSでは原因究明を求める声が少なくない。市選挙管理委員会によれば、委託業者に不備があったとして調査を進めており、取材に「これだけのトラブルになるのは初めて」と困惑を隠さない。
止まぬ問い合わせ
「一体どうなってこうなったのか」「こんな不公平な選挙は初めてだ」「自治体のレベルが問われます」「これ、お詫びだけじゃ済まないと思います」
投開票前日から当日にかけて、SNSでは立川市民とみられるユーザーから苦情が次々に飛び交った。選挙公報が一向に届かないとの訴えで、中には当日まで届かなかったり、複数受け取ったりしたとの声もあった。
市は18日、配布漏れが頻発していると公表し、配布を希望する場合は委託業者か市選管に直接連絡するようツイッターなどで呼びかけた。
市の発表や20日の選管事務局長への取材によれば、経緯はこうだ。配布業者との仕様書では、14、15日の2日間(16日を予備日)で約9万4500部の全戸配布を定めていた。しかし、市民からの問い合わせで18日に未配が発覚した。業者からは17日に完了報告があったが、実際は8万9000部しか配っていなかった。
乖離があるため、選管は18日午前に業者に再三説明を求めたものの回答を得られなかった。市民からの問い合わせも止まず、市と連携して18日中の配布を強く指示した。
委託費は約105万円、業者は「担当者が終日不在」
業者から18日18時30分に、約1万4000部の未配布があるとの連絡があった。19日14時には、18日中に7500部を配布し、19日にようやく残部を配り終えたと報告された。市はウェブサイトで「市民の皆様に大変ご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます」と謝罪している。
この業者とは初めての取引で、委託費として105万円ほどを支払う予定だという。
選管事務局長は今回の事態を「私が知る限り、これだけのトラブルになるは初めて」と受け止め、責任の所在は「やっていただけるものとして発注しましたが、業者が履行をしっかりやっていただけなかった」との認識を示す。
投票率は42.13%と前回から1.41ポイント下落した。遅配の影響については「判断はしかねます」とするも「紙の公報を頼りに投票する方もいるでしょうし、それがないことで投票に行くことができなかった、あるいは止めたという方もいるかもしれません」と推測した。
詳しい原因がわかり次第、再発防止策を講じる予定だという。業者にも取材を申し込んだが、担当者が終日不在だとして回答は得られなかった。