日本航空(JAL)傘下の中長距離格安航空(LCC)、ZIPAIR(ジップエア)は2022年6月15日、18日から機体のデザインを順次変更すると発表した。現行デザインは垂直尾翼に「Z」のロゴマークを描いているが、新デザインではそれが消える。
この日開かれた記者会見の主題は成田-サンノゼ線の開設に関するもの。発表資料では、デザイン変更の経緯を「ポストコロナに向けてさらなる飛躍を期して」と説明した。ただ、「Z」は、ウクライナを侵攻するロシアを支持するシンボルとしての認識が広がっているのも事実。西田真吾社長は「航空産業は平和産業」だとして「心配事あるいは不安な思いをされるということが、できればないように...」とも話し、ロシアと関連付けられかねない要素は、少しでも減らしていきたい考えだ。
「航空産業は平和産業」「心配事・不安な思いは、できればないように」
「Z」デザインの変更とロシアとの関係について問われた西田氏は、
「本日の発表、リリースの通り、私どもにとっては機体のデザイン変更で、これからの成長 あるいは事業拡大の覚悟を示す。これは社内にもそうだし、社会の皆さんにも示す、マーケットにも示す、ということ」
だと説明する一方で、
「ご存知の通り航空産業は平和産業。少しでも、心配事あるいは不安な思いをされるということが、できればないように...ということも、考え合わせてのことだ」
とも話した。
そもそも「ZIPAIR」というブランド名には、(1)矢が素早く飛ぶ擬態語「ZIP」から「フライトの体感時間が短い」(2)郵便番号の「ZIP CODE」から、「様々な場所に行ける」(3)拡張子の「.zip」から「至る所に日本人らしい創意工夫をつめて、計算し尽くされた移動体験を目指す」、というイメージや思いを込めた。垂直尾翼のロゴは「ZIP」の頭文字で「究極」を意味する「Z」と、「AIR」を表現する空白「_」(アンダーバー)を組み合わせた。ロゴと機体デザインは、それぞれ19年3、4月に発表された。いずれもロシアとは無関係だ。
デカール→ペイントの2段階でデザイン変更
西田氏によると、それでも乗客からは「『関係はあるのか』と尋ねられるようなことがあった」。乗客が現行ロゴに持ちそうな印象を次のように説明した。
「ご説明を差し上げれば、理解はもちろんいただけると思っているし、実際に、そういうご質問に対しては、私どもの『ゼットアンダーバー』の意味は申し上げてきたつもりだが、おそらく説明なしで、初見でこれをご覧になると、何らか、感じられる方もいらっしゃるとは思う」
新デザイン機は6月18日から順次お目見えする。まず「デカール」と呼ばれるシール状のフィルムを貼り付け、7月上旬には全4機が新デザインになる。その後、12月から塗料で塗り替えた飛行機が登場し、23年春には4機の塗り替えが終わる。最初にデカールを使うことで、できるだけ早く「Z」を消す狙いもあるとみられる。
今回の会見で開設が発表されたサンノゼ線はZIPAIRとしては6路線目で、日本と米本土を結ぶ路線としては21年12月に開設したロサンゼルス線に続く2路線目。サンノゼはシリコンバレーに近く、アジア系住民も比較的多い。比較的若い世代や、成田からアジア各国に乗り継ぐ乗客の利用を見込む。22年12月の就航を予定している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)