岸田文雄首相は2022年6月15日夕、通常国会の閉会を受けて首相官邸で記者会見を開き、参院選(22日公示、7月10日投開票)の勝敗ラインについて「非改選の議員も含めて与党で過半数」だと述べた。
首脳会談にともなうものを除けば、 岸田氏が首相官邸の会見室で記者会見を開くのは4月26日以来、1か月半ぶり。前回よりも会見時間は延び、質問できなかった記者の質問をメールで受け付ける運用も復活した。参院選を控え、衰えが指摘されていた「聞く力」の復活をアピールする狙いもありそうだ。ただ、会見を打ち切ったこと自体に引き続き批判が出ており、アピールも道半ばだ。
メール質問断られた道新「説明に消極的な岸田政権の姿勢があらわとなった」
岸田氏が会見室で開く会見の多くは1時間程度続く。だが、4月26日の記者会見は41分52秒で終了(官邸ウェブサイトの動画の長さでカウント)。報道各社による「首相動静」によると、会見の次の日程は、東京・芝公園の東京プリンスホテルで「茂木派のパーティーに出席し、あいさつ」だった。司会役の内閣報道官が会見を打ち切る際は、指名されなかった記者の質問はメールで受け付けることをアナウンスするのが通例だ。この日はそれもなく、それでも4社が質問を申し込んだが断られた。松野博一官房長官は4月27日の記者会見で、その経緯について
「総理会見後の書面質問を受け付けるかどうかは記者会見の状況および業務の状況等を勘案して、その都度判断をしている」
などと答弁した。
質問を断られた4社のうち1社が北海道新聞で、4月28日の朝刊で
「大型連休中の首相の外遊に向けた準備で対応が難しいとするが、説明に消極的な岸田政権の姿勢があらわとなった」
と批判していた。
会見終了から30分後に首相公邸に帰宅
今回の記者会見は58分52秒にわたって行われ、最後に司会者が
「恐縮ですが、現在挙手いただいている方につきましては、後ほど1問、担当宛てにメールにてお送りください。後日、書面にて回答させていただきます」
とアナウンスして打ち切られた。岸田氏は会見後30分ほど官邸内に滞在し、首相公邸に帰宅した。
会見に出席し、指名されなかったフリージャーナリストの江川紹子さんは、朝日新聞の「首相動静」記事につけたコメントで、コロナ対策やロシアによるウクライナ侵略など課題が山積していることを指摘した上で、
「可能な限り様々な質問に答え、考えを聞かせてほしい。首相には、記者の質問を聞く力、それに自分の言葉で答える力も大事だ」
と訴えた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)