東京観光の需要回復を図ろうと、東京にゆかりのある航空2社と鉄道3社が2022年6月13日、「ただいま東京」キャンペーンを始めたと発表した。
全日空(ANA)、JR東海、東京メトロ、日本航空(JAL)、JR東日本の5社が参加。元々航空2社は競合関係で、飛行機と新幹線の間でもシェア争いを展開している。それでも各社は、東京への旅行需要の回復が遅れているという問題意識を共有。業界を越えて「そろそろ東京に行きたい」といった気持ちを盛り上げたい考えだ。
「『そろそろ東京に行きたいな』という気持ちを後押ししたい」
航空会社が各地のJRと組んでキャンペーンを行うことはあったが、5社が共同でひとつのキャンペーンに取り組むのは初めて。21年度末頃から準備が始まったといい、JR東海の杉浦雅也・執行役員営業本部長は、
「航空も新幹線も、実は東京行きの流動の回復が弱いというのが現状。普段は、いわばライバル関係でもある5社だが、ここは業界を越えて手を携えてさまざまな取り組みを共に行うことで『そろそろ東京に行きたいな』という気持ちを後押ししたい」
などと挨拶した。
JR東海の担当者によると、子会社のJR東海ツアーズの6月出発の旅行商品の場合、首都圏から地方に向かう旅行需要は「コロナ前」の18年と比較して60%の水準に戻っているのに対して、地方から首都圏に向かう需要の戻りは46%にとどまっている。
賞品のツアーでは「東京駅を知り尽くした東京駅の社員が、特別にご案内」
キャンペーンは9月末まで行われ、特設サイトやSNSを通じた情報発信とプレゼントキャンペーンが柱。後者は、「お気に入りの東京」「また行きたい東京」の写真に「#ただいま東京」のハッシュタグをつけてインスタグラムに投稿する「写真投稿キャンペーン」と、ツイッターの公式アカウントを「フォロー&リツイート」するキャンペーンの2種類がある。それぞれに対して各社が往復航空券や旅行券などの賞品を用意した。異彩を放つのが、JR東日本がインスタグラムキャンペーン向けに出した「東京駅特別見学(ランチ付き)と東京ステーションホテル宿泊ツアー 1組2名」。JR東日本の担当者によると、「東京駅を知り尽くした東京駅の社員が、特別にご案内」するツアーで、その内容は「どこを見て、どのような発見があるかは、当日のお楽しみ」だ。
記者発表会は東京スカイツリーの展望台で行われた。各社の制服姿の乗務員と、「駅街かける」(東京メトロ)、「シンカリオン」(JR東日本)、「ソラカラちゃん」(東京スカイツリー)、「ずらしmado(マドゥ)」(JR東海)といったマスコットキャラクターが一堂に会し、修学旅行生ら観光客の目を引いていた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)