プロボクシングの世界バンタム級3団体統一王者・井上尚弥(大橋、29)への挑戦を熱望している元WBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン、32)に対し、地元フィリピンメディアが辛辣に報じた。
世界王座は交渉上の切り札
フィリピンテレビ局「GMA」(WEB版)は、「世界タイトルがなければカシメロは井上と対戦する可能性が低い」とのタイトルで記事を公開し、ボクシングのベテランアナリストであるエド・トレンティーノ氏の見解を伝えた。
記事ではカシメロが最近になってSNSで井上との対戦を呼びかけているが、カシメロが現WBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国、33)との試合を2度にわたりキャンセルしたことで井上との対戦が実現するとは考えていないと伝えた。
トレンティーノ氏は「カシメロがWBOのタイトルを保持しているならば間違いなくカシメロだろうが、現在井上が優先するのは現WBOチャンピオンのポール・バトラーだ」との見解を示した。
さらに「バトラーは、井上が誰もが認めるバンタム級チャンピオンになるための対戦相手だ。世界タイトルがどれほど重要であるか。それは交渉上の切り札だ。世界タイトルがなければ誰もカシメロに気付かないだろう」と解説した。
年内にも世界4団体王座統一戦実現か
カシメロは昨年12月にバトラーを相手に5度目の防衛戦を予定していたが、前日計量をウイルス性の胃腸炎のためキャンセル。WBOはカシメロの正当性を認めてバトラー戦を4月に調整しものの、カシメロが英ボクシング管理委員会の定める規定違反に抵触したため試合に出場出来なくなった。
一方のバトラーはカシメロの代替としてジョナス・スルタン(フィリピン)と暫定王座を争い判定勝利でタイトルを獲得。WBOがカシメロの正規王座をはく奪したことにより、暫定王者から正規王者に昇格した。
7日のタイトル戦でWBC世界バンタム級王者ノニト・ドネア(フィリピン、39)を破り世界3団体の王座統一に成功した井上は試合後、改めて世界4団体王座統一を目指すことを明言。バトラーも前向きな姿勢を見せていることから年内にも王座統一戦が行われる可能性が高まっている。
The MONSTER wasted no time ?? @naoyainoue_410 knocked out Nonito Donaire in two rounds. #InoueDonaire2 pic.twitter.com/WmMxwcWRib
— ESPN Ringside (@ESPNRingside) June 7, 2022