白いワゴン車が、薄い赤色に表示された軌道の上に止まり、制服姿の職員がその脇でどこかと電話している。
札幌市電の線路上で車が違法駐車し、路面電車が約10分間にわたってストップする騒ぎがあった。
ドライバーは数分後に戻り、市電の職員に平謝り
市電を運営する市交通事業振興公社にJ-CASTニュースが2022年6月13日に取材して聞いたところによると、12日の17時5分ごろ、札幌市中央区南一条西3の西4丁目―狸小路両停留所間で、外回り循環の路面電車が、線路に駐車したワゴン車で通行できず、立ち往生した。
このとき撮った写真が、ツイッターに複数投稿され、リツイートされるなどして拡散している。
それらを見ると、日曜日夕方の商店街にあって道行く人も多かったため、人が集まって一時騒然となり、違法駐車の写真を撮る人たちの姿も見られた。投稿によると、車のドライバー男性は数分後、近くの店でケーキを買って出てきて、制服の職員に平謝りしてから、車で走り去ったという。
市交通事業振興公社の運行管理課は、取材に当時の状況を答え、電車は現場で約10分間停車を余儀なくされたとした。制服の職員が応援で駆けつけ、ドライバーが戻ったので、車を移動してもらって厳重注意したという。この影響で、後続の電車1本も約10分遅れた。この日は、「路面電車無料デー」だったこともあり、2本とも電車の車内は混雑していたそうだ。
「悪質な場合は、警察に協力を求める」
市電は、複線となっているが、現場は、道路の真ん中ではなく、内外回りとも歩道側に線路が敷かれているサイドリザベーション方式の区間だった。
市電は、2015年12月に延伸してループ化し、環状運転となった。サイドリザベーション方式も、このときに導入された。
「当初は、何度か路駐があり、運行に支障が出ていました。その後は、年に1回あるかの程度で、最近はほとんど路駐がなくなっていたので珍しいと思います」
過去の新聞報道によると、市電では16年2月、20代のドライバー女性が歩道側にある線路に買い物で違法駐車して電車2本が最大約12分遅れ、女性は道交法違反で札幌中央署に駐車違反の反則切符を切られている。
振興公社では、今回は、約10分間だったため、厳重注意に留めた。しかし、悪質な場合は、警察に協力を求めるとしており、「最悪、レッカー移動になりますので、線路上に車を止めないでほしい」と話している。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)