ちむどんどん「伏線回収」に違和感噴出のワケ 識者に聞いた「カムカムとの違い」とは

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   放送9週目を迎えたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の展開が、思わぬ注目を集めている。

   きっかけは、ヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜さん=25)の勤務先のレストランのオーナーの正体が明かされたこと。これを「伏線回収」と評価する声もあれば、「伏線回収でもなんでもない」と冷めた見方もあるのだ。

  • 黒島結菜さん(写真:2019 TIFF/アフロ)
    黒島結菜さん(写真:2019 TIFF/アフロ)
  • 黒島結菜さん(写真:2019 TIFF/アフロ)

「これ伏線回収のつもり?」

   2022年6月7日に放送された第42回では、レストランのオーナーが、暢子の大叔母であることが判明。暢子については第2週で、実家の家計の苦しさから東京に住む親戚に預けられそうになるというストーリーが展開しており、その親戚というのが勤務先のオーナーというものだった。

   このため、視聴者からは「おお、なかなかの伏線回収」といった、ドラマにちりばめられていた伏線が回収されたとする好評意見がツイッターに。その一方で、「これ伏線回収のつもり?」といった疑問も同時に上がってしまったのだ。

   展開が読めやすすぎる点など、一連の展開を「伏線回収」とすることに違和感を抱いた視聴者も少なくないようで、ツイッターには、

「オーナーやっぱりそうやったんかい笑 伏線として見え見えで驚きはないな...」
「視聴者みんなわかってるから驚きも何もない」

との声も出ている。

   はたして、暢子がオーナー=大叔母だと気付いたことは「伏線回収」といえるのか。J-CASTニュース編集部はドラマ、演劇、映画に詳しいライターの木俣冬氏に、今回の展開についての見解を聞いた。

「やや強引な印象も...」

   まず編集部は、オーナーとの出会い、そして、オーナーが大叔母であることに気付くというのは他のドラマでも言われる「伏線回収」と言えるのか聞いてみた。

「『伏線回収』とはあらかじめほのめかされた思いもよらないものがあとあと物語に関わってきて驚くような隠し技です。房子が大叔母だったことが後で分かるのは物語の展開の一部ですし『伏線回収』とはいえないでしょう。仮にそうだとしても松竹梅でいえば梅コースです。何かあるぞと匂わせ過ぎています。優子や暢子が房子をあの大叔母だと思いもよらないでいたことにやや強引な印象もありました。子供が東京に引き取られるとき、大叔母の名前や東京でなにをしている人なのか、大事な子供を預けるのですから、事前に情報を得て暢子にも認識させるものではないかと釈然としない視聴者もいたと思います」

   では、どのような展開なら「伏線回収」と言えるのだろうか。

「例えば、2017年度前期に放送された『ひよっこ』では、序盤にヒロインのお父さんが洋食店にお重を預けてその後行方不明になります。お父さん探しは行われますがお重のことはまったく出てこないままで最終回になってようやく印象的な役割をします。これは最初から『伏線』として仕込んでいたわけではなかったそうですが、お重という何気ないものがふと出てくるこういう意外性が物語の味わいになると思います。『ちむどんどん』なら、たとえばニーニーが詐欺にあった960ドルが、20年前に買った金が高騰しているような感じで、最終的に何倍にもなって返ってきたら素敵な伏線回収ではないでしょうか」

「カムカム」安子再登場は伏線回収なのか

   2021年度後期放送の「カムカムエヴリバディ」の初代ヒロイン・橘安子(上白石萌音さん=24)をめぐる展開はどうだろうか。

   同作の終盤では、安子が身分を偽り、ハリウッド関係者のアニー・ヒラカワ(森山良子さん=74)として登場。最終的に安子であることが判明するという演出がなされた。この展開について、木俣氏は次のように見ていた。

「伏線でも回収でもなく、生き別れになった母と子の感動の再会を最大限に考えた形です。アメリカ、英語、映画、アニーという名前等々、こちらは堂々と答えを匂わせています。そこに否が少なかったとしたら、そこに至るまでの物語も登場人物ひとりひとりも丁寧に描かれていたことと、安子の再登場を熱望する視聴者が多かったから待ってました!ということだったでしょう」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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