プロボクシングの元WBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン、33)がSNSでWBA、IBF、WBC世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋、29)を挑発したと2022年6月9日に地元メディアが伝えた。
「正直なところカシメロは戦いづらい選手だ」
フィリピンメディア「ABS-CBN」(WEB版)は、「カシメロは井上に『またな』と言った」とのタイトルで記事を公開し、カシメロがSNSの動画を通じて井上に挑戦的なコメントを繰り返したことを伝えた。
同メディアによると、カシメロは井上に対して「お前はこの階級で最強じゃない。バンタム級で誰が最強なのか知ってるか?クアドロ・アラス(カシメロの愛称)以外に誰もいない」との言葉を投げかけた。
また、同メディアはフィリピン出身の世界2階級制覇ジェリー・ペニャロサ氏(49)のコメントを紹介。ペニャロサ氏は97年にWBC世界スーパーフライ級王者・川島郭志(ヨネクラ)に挑戦し僅差判定で王座を獲得。07年にはWBO世界バンタム級王座を獲得している。
ペニャロサ氏は記事中で「井上を倒せるフィリピン人がいるとすればカシメロだと思う。多くの人が私に反対することを私は知っているが、正直なところカシメロは戦いづらい選手だ。彼は経験があり、強く、賢い」などと語った。
英国入り後サウナ使用で試合出場できず
井上は7日にフィリピンのレジェンドである世界5階級制覇のノニト・ドネア(39)を2回TKOで破り世界3団体の王座統一に成功。今後は世界4団体王座統一を目指しており、年内にもWBO同級王者ポール・バトラー(英国、33)との対戦が見込まれる。
かつて井上の対抗王座に君臨していたカシメロは、今年4月にはバトラーを相手に5度目の防衛戦を予定していたが、英国入りしてから減量のためにサウナを使用したことが発覚。これが英ボクシング管理委員会の定める規定違反に抵触したため試合に出場できなくなった。
タイトル戦は暫定王座決定戦に変更となり、バトラーが同級4位ジョナス・スルタン(フィリピン)を判定で破り暫定王座を獲得。カシメロは21年12月に予定されていたバトラー戦の前日計量を、ウイルス性の胃腸炎のためキャンセルした経緯もあり、WBOはカシメロの王座をはく奪しバトラーが正規王者に昇格した。
王座から陥落したカシメロは現在WBO世界バンタム級1位にランクされており、タイトル戦に向けてスタンバイしている。カシメロは21年8月以来リングから遠ざかっており、ライバル視する井上が完璧な内容でドネアを倒したことに刺激されたようだ。