北朝鮮が新型コロナウイルスの感染者発生を公表してから、まもなく1か月。国営メディアでは、連日のように政府の防疫対策が報じられている。主に強調されるのは医療物資の提供、隔離、消毒、水際対策などだ。
国営メディアは「渡り鳥生息地」を集中監視していることを少なくとも3回にわたって報道。北朝鮮は2020年1月から鎖国状態を続けてきたが、新型コロナの流入は防げなかった。そんな中で続けている独自の水際対策だ。
「1830以上の場所で野生動物に対する集中監視が行われている」
北朝鮮が新型コロナ感染を初めて公表したのは22年5月12日。8日に平壌で発熱した人の検体を確認したところ、オミクロン株と一致したことを明らかにした。国営メディアによると、4月末から6月8日18時にかけて430万4380人の「発熱患者」が確認され、そのうち97.8%にあたる421万610人が回復した。PCR検査や抗原検査の体制が整っていないため、便宜的に「発熱患者」を感染者に準じる形でカウントしているとみられ、人口(約2600万人)の16%程度が感染している可能性がある。
5月27日に朝鮮中央通信が配信した「防疫形勢の変化に対処するための作戦を推進」と題した記事では、
「鉄道駅、道路をはじめとする1840以上の地点に防疫所が展開され、流動人員と運輸機材に対する消毒事業が一層強化され、渡り鳥生息地、湖、海岸沿線地域など1830以上の場所で野生動物に対する集中監視が行われている」
と報じており、6月2日には「海岸沿線地域で封鎖警備を多重に強化する一方、渡り鳥の生息地がある所で抜かりのない監視と通報システムを確立している」。8日付けの記事でも
「全国的に1800以上の地点で渡り鳥の移動経路などを恒常的に監視しており、全ての機関、団体、住民世帯で家畜による悪性ウイルスの拡散を防ぐための獣医防疫対策をより綿密に立てている」
としている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)