プロボクシングの前WBC世界バンタム級王者ノニト・ドネア（フィリピン、39）の試合後の振る舞いがファンの称賛を集めている。
世界バンタム級3団体王座統一戦が2022年6月7日、さいたまスーパーアリーナで行われ、WBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥（大橋、29）がWBC世界バンタム級王者ドネアを2回TKOで下し王座統一に成功した。
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井上と抱擁を交わすドネア（写真：AFP/アフロ）
花道では警護スタッフに気遣い
試合は初回から井上が軽快な動きを見せ、ラウンド終了間際に右クロスでドネアからダウンを奪った。ドネアは何とか立ち上がるもダメージは深刻で続く2回に井上の猛攻を受け最後は左フックでキャンパスに沈んだ。
19年11月以来のリマッチで壮絶なTKO負けを喫したドネア。世界5階級を制覇し、世界主要団体のWBA、WBC、IBF、WBO全てのベルトを巻いたレジェンドは、試合直後のリングでもやはり「レジェンド」だった。
ドネアは歩み寄ってきた井上と抱擁を交わすと井上の耳元で「ありがとう」と日本語で感謝の意を表し、続けて英語で「コングラチュレーション」と祝福した。会見ができないほど大きなダメージを受けた中、勝者に対してリスペクトの念を忘れなかったドネア。
また、リングを降りて花道を引き揚げる際には、わきを固めた警護スタッフが躓いて転倒するとサッと手を差し伸べるシーンが見られた。このようなドネアの紳士的な姿はインターネットで話題を集め、日本のボクシングファンから称賛のコメントが寄せられた。
剣豪・宮本武蔵に心酔
ドネアは大の親日家と知られ、江戸時代の剣術家である宮本武蔵に心酔している。宮本武蔵の自著「五輪書」を愛読しており、日本の歴史、文化に通じている。かつては自身の愛称である「フラッシュ」を意味する漢字「閃光」と書かれた鉢巻で入場したこともある。
このような背景からツイッターでは「武士道の精神を感じます」「儚く散っても美しい」「本当に礼儀正しく、素晴らしい選手」などのコメントが寄せられ、「ドネアありがとう」「日本に来てくれてありがとう」など感謝の言葉も見られた。
スポーツ紙などの報道によると、ドネアは試合後、「彼はとても強く勝ちに値する選手でした。おめでとうと伝えたい」と陣営を通じてコメントを発表した。
The MONSTER wasted no time ?? @naoyainoue_410 knocked out Nonito Donaire in two rounds. #InoueDonaire2 pic.twitter.com/WmMxwcWRib
— ESPN Ringside (@ESPNRingside) June 7, 2022