今年の交流戦はセリーグの健闘が目立つ。2022年6月7日試合前時点でヤクルト、阪神、中日が1~3位に位置し、巨人とDeNAも借金がない。そうした中、取り残されているのが広島だ。3勝9敗と大きく負け越し、交流戦最下位に沈んでいる。
識者は不調にあえぐベテラン勢に代わり、ファームにいる若手を起用しても面白いと指摘する。
中村奨成昇格は「正直遅いぐらい」
広島は開幕6連勝を飾るなど幸先良いスタートを切り、交流戦前までは25勝19敗2分と好位置をキープ。不動の4番・鈴木誠也が抜けた穴は大きく、シーズン前の下馬評は低かったが、新外国人のマクブルームが「つなぎの4番」でフォア・ザ・チームに徹した。
坂倉将吾、西川龍馬と巧打者たちの勝負強さも光り、強力打線を形成した。投手陣は大瀬良大地、九里亜蓮、森下暢仁、床田寛樹、アンダーソン、遠藤淳志の先発ローテーションできっちり試合を作ってきたが、交流戦に入ると投打の歯車が狂い始めた。
ロッテ戦に1勝2敗と負け越すと、2カード目のソフトバンク戦で3連敗。3試合で計26失点と投手陣が崩壊し、打線も計1得点のみと圧倒された。オリックス戦でも本拠地・マツダで同一カード3連敗を喫するなど精彩を欠く戦いぶり。最近の登板で状態が上がらない大瀬良、左足首を痛めた西川が22年6月5日に登録抹消された。
明るい材料は若手の台頭だ。プロ5年目の中村奨成は今季開幕2軍スタートだったが、5月31日に1軍昇格すると、同日の日本ハム戦(マツダ)から6試合連続スタメン出場。好調の打撃を買われて3番で起用され、捕手と外野の「二刀流」で打率.321と好調をキープしている。
「中村奨を1軍に上げたタイミングも正直遅いぐらいです。広島は大盛穂、羽月隆太郎、林晃汰とイキのいい若手が多い。停滞している雰囲気を打破するためにもファームにいる彼らを1軍で起用しても面白い。ベテランの長野久義、松山竜平の調子が良くないですしね。チーム内の競争を活発にするためにも、若返りを図った方が良いと思います」(スポーツ紙デスク)
ベテランの力は長いペナントレースで必要な時期がくるが、長野、松山の状態が上がってこない状況を考えると実績にとらわれず、テコ入れを検討する必要があるだろう。(中町顕吾)