通常国会の会期末を2022年6月15日に控え、立憲民主党は細田博之衆院議長の不信任決議案と内閣不信任決議案を相次いで提出する方針で、対決姿勢を鮮明にする考えだ。ただ、野党の間でも温度差が際立つことになりそうだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は6月7日の定例会見で、両決議案への同調には否定的な見解を示した。
細田氏については、すでに直接注意したとして、それでも不信任案を出すことについては「少し違和感」。内閣不信任案については「会期末の年中行事のような形で出すことには、なかなか国民の理解が得られないのでは」などと述べた。
「場合によっては解散総選挙ということにもなるので」
細田氏をめぐる論点は大きく2点。週刊文春でセクハラ疑惑が報じられ、国会の場で説明をしていないことと、衆院選挙区の「10増10減」に否定的な見解を繰り返したことだ。玉木氏は前者について「週刊誌の報道だけで3権の長を不信任にするのは国民から見てどうなのかな、という気もする」。後者については、議長公邸で面会した際に直接「発言に気をつけてほしい」と注意し、細田氏も「これから発言に気をつける」と応じたとして「それをもとに不信任するというのは、個人的には少し違和感を感じる、というのが率直な思い」だとした。
内閣不信任案については、次のように否定的な見解だ。
「国民から見て、少なくとも選挙のためにやっているという風に思われると、その思いが伝わらないと思うので、やはり明確な理由が必要だと思う。場合によっては解散総選挙ということにもなるので、そういった備えがきちんとあるのかどうか、可決する見込みがあるのかどうか、ということが非常に大事だと思う」
「会期末の年中行事のような形で出すことには、なかなか国民の理解が得られないのでは」
立憲・泉代表「『見せ場』のためのものでなく、議会と議員の基本的な権利です」
日本維新の会の松井一郎代表も、6月1日に内閣不信任案と解散総選挙の関係に言及。次のようにツイートした。
「立憲が内閣不信任案提出すれば、岸田内閣は解散すれば良い、維新の会衆議院議員の皆さん、衆参ダブル選挙の準備です。立憲・泉さん、不信任案提出ならダブル選挙になる日程で提出して下さい」
泉健太代表は、不信任案提出が野党としての「見せ場」だとの見方を否定している。
読売新聞は「内閣不信任案で野党の分断また浮き彫り...見せ場にしたい立憲・共産、冷ややか維新・国民」の見出しで、「泉氏が内閣不信任案の趣旨弁明に立つ方向で、岸田内閣を糾弾し、参院選に向けた最大の見せ場にしたい考えだ」と報じている。泉氏はこの記事をツイッターで引用した上で、
「内閣不信任決議案は、『現内閣は信任に値しない』と判断する衆議院議員が51人以上集まれば、提出、審議されるものです。『見せ場』のためのものでなく、議会と議員の基本的な権利です」と主張している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)