「ああ、チャリ漕いでる!」動いたペダルと蘇った記憶 20歳で手足3本失った僕の感動体験

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「一生漕ぎ続けられる」と思うくらい楽しかった

   両足義足で漕ぐ動作ができることに驚く人もいるかもしれません。パラスポーツでも自転車競技があり、義足の選手がいます。同列には語れないけど、漕ぐこと自体は僕にもできる可能性があったのかなと思います。

   とはいえ、実際にやってみたら「ああ、チャリ漕いでる!」と感動しました。あの時は「一生漕ぎ続けられる」と思うくらい楽しかったです。もう体験できないことだと思っていました。インパクトがすごかったです。

   誰でも自転車に乗れるようになると、当たり前のように乗れますよね。事故以前の僕もそうでした。でも手足を失って当たり前ではなくなってから、自転車に乗る感覚がなくなっていました。

   本物の自転車ではないけど、実際にエアロバイクのペダルを漕げた時、「昔は自転車に乗っていたな。自転車で高校に通っていたし、車と競走するようなこともしていたな」と記憶や感覚が蘇りました。景色は変わらないし、前に進むわけでもないけど嬉しくなりました。

   電車事故で手足を失う前、普通二輪免許と原付免許を取っていて、バイクに乗っていました。事故の後も、乗れないことは分かっていたけどバイクの免許は残しました。自動車免許を取る時、二輪免許があると学科が免除になるからです。

   その際、免許証の裏面に条件が書かれました。▽二輪車、原付車は、AT車で側車付き▽義足、義手をつけること▽アクセル、ブレーキは左にあること▽右足にフットブレーキがあること――といった多くの条件があります。バイクに実質乗らない前提の免許になっています。

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