口癖のように言っていた「これは失礼です」
放送後、番組内容がニュースに取り上げられると、ネット上では「見ていて気分が悪くなりました」「言葉の体罰が酷すぎる」などと、平林氏の指導内容に対する批判的な声が噴出。その一方で、「企画された番組側の問題なのではないか」「制作ミスであることは明白」などと、番組の演出にも厳しい声が多く聞かれた。
マナー講師に対する厳しい声を、同じマナーのプロである西出さんはどう見ていたのか。
「私も過去にネットで『炎上』したことがあります。さまざまな角度から見れば、思うことはいろいろとありますが、不快に思われた方々のお気持ちを思うと心が痛みました」
西出さんは21年10月に「マナー講師の正体、マナーの本質」(アドレナライズ)という本を出版。マナー講師が頻繁に「炎上」する理由を、業界に身を置く自身の経験や知見を踏まえて分析した内容だ。
同著では、西出さんがネット上で「炎上」した過去に触れている。20年7月、同年秋刊行予定だった著書「超基本テレワークマナーの教科書」(あさ出版)の書籍概要と、「リモート会議では5分前にはルームに入室」「お客様より先に退出してはならない」などの「テレワークマナー」を紹介したツイートが拡散された。ネット上では「理不尽なマナー」だとして、西出さんへの批判が相次いだ。
しかし、拡散された上記のマナーは、実際には本に載っていない、虚偽のものだった。デマ被害を受けた西出さんだが、「私の与り知らないところで炎上しているのだから、それに対して私が反論するのもおかしなことだと思った」(「マナー講師の正体、マナーの本質」より)と、投稿者への提訴はしなかった。
ただ、こうした「炎上騒ぎ」の中で気づいたこともあったという。
「私のようにマナーを伝えるマナー講師のことが『失礼クリエイター』と呼ばれて、批判されていることを知りました。メディアに出ると『(何らかの行為や言葉遣いに対して)それは失礼です!それはダメです!と言い切ってください』と言われるんですよね。だから私も『これは失礼ですね』と口癖のように言ってしまっていました。なんでもかんでも『失礼』と言い、様々な失礼を作り出すから、失礼クリエイター。名前の由来を聞いたとき、なるほど、皆さんすごいなと感心したほどです」