「ヤクルト1000」空前のブーム 「乳酸菌飲料」他社も売れ行き好調、高付加価値化で賑わう市場

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   ヤクルト本社(東京都港区)の乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000/Y1000」が"千客万来"の人気ぶりだ。SNS上では「睡眠の質向上」を期待するユーザーの間で注目が集まり、店頭や自動販売機での「売り切れ報告」が連日相次ぐ。

   乳酸菌飲料市場では同商品以外にも、飲料メーカー各社が高付加価値飲料を販売。市場の盛り上がりに、企業の間では好意的な受け止めが広がっている。

  • ヤクルト1000が売り切れた自動販売機(2022年5月撮影、東京都内にて)
    ヤクルト1000が売り切れた自動販売機(2022年5月撮影、東京都内にて)
  • 日清ヨークの「ピルクル」は21年4月に「ピルクル400」にリニューアルした(日清ヨークのニュースリリースより)
    日清ヨークの「ピルクル」は21年4月に「ピルクル400」にリニューアルした(日清ヨークのニュースリリースより)
  • ヤクルト1000が売り切れた自動販売機(2022年5月撮影、東京都内にて)
  • 日清ヨークの「ピルクル」は21年4月に「ピルクル400」にリニューアルした(日清ヨークのニュースリリースより)

1日あたり100万本売れる「ヤクルト1000」

   「ヤクルト1000」は2019年10月に関東地区で発売し、21年4月に全国展開を開始。宅配向け商品だが、自動販売機でも売られている。「ヤクルト史上最高密度の乳酸菌シロタ株」を含んだ機能性表示食品で、「ストレス緩和」と「睡眠の質向上」を掲げている。

   ヤクルト本社の22年3月期決算短信補足説明資料によると、1日あたりの売り上げ実績は21年3月期で42万7000本だったが、全国展開後の22年3月期には114万7000本まで増加。同社の過去最高益に貢献した。23年3月期は145万本の売り上げを見込む。

   21年10月には店頭向け商品の「Y1000」を全国発売。近頃はSNS上で、特に「睡眠の質向上」を期待するユーザーの間で話題となり、小売店などでの「品切れ報告」が相次いでいた。22年5月下旬には東京メトロ・日本橋駅に「ヤクルト1000」の専用販売スペースが出店したことも注目を集めた。

   5月31日には「ヤクルト1000」が品薄になっているとして、ヤクルト本社が公式サイト上にお詫びの文書を掲載。6月1日には、7月にも「Y1000」の増産がはじまることを日本経済新聞が報じている。

昨春には「ピルクル」が「ピルクル400」にリニューアル

   社会現象ともいえる「ヤクルト1000/Y1000フィーバー」だが、近年は乳酸菌飲料市場自体への注目も高まっている。総務省統計局の家計調査によると、乳酸菌飲料への1人あたりの年間支出額(2人以上の世帯)は01年時点で3352円だったのが、21年では4410円と、20年の間に1000円以上増加している。

   人気の背景の一つが、商品の「高付加価値化」だ。「ヤクルト1000/Y1000」以外にも、「健康な人の免疫機能の維持をサポート」を掲げたキリン「iMUSE」ブランド(17年~)の飲料や、「睡眠の質を高めるのに役立つ」「腸内環境の改善に役立つ」とするアサヒ飲料の「届く強さの乳酸菌W」(19年発売)など、近年は「新風」が相次いで登場。日清ヨークのロングセラー飲料「ピルクル」(93年発売)も、21年4月から65ミリリットルあたりの乳酸菌の数を従来の150億個から400億個に増やした「ピルクル400」にリニューアルしている。

   キリンの広報担当者は22年6月2日、J-CASTニュースの取材に、今年3月発売の100ミリリットル入り乳酸菌飲料「iMUSE 朝の免疫ケア」の好評もあり、「プラズマ乳酸菌入り飲料」カテゴリが好調に推移していると説明。また、アサヒグループジャパンの広報担当者は3日、コロナ禍以降は『睡眠の質』に対するニーズが高まっていることもあり、「届く強さの乳酸菌W」の販売実績が好調だとした。

   日清ヨークの「ピルクル400」は「ヤクルト1000」と名前などが似ていることもあり、今回のブームではSNS上で比較されるケースが目立っている。同社の広報担当者は3日、「業界が注目を集めている中、日清ヨークとしてもこの先新商品を展開していきたいと考えております」とした。

   また、今回の「ヤクルト1000/Y1000」ブームの受け止めについて、飲料メーカー4社に3日までに回答を求めたが、各社とも「他社製品については答えられない」などとして言及を避けた。一方で、「乳酸菌市場に対する関心が高まることについてはポジティブに捉えている」(キリン担当者)、「健康に関わる市場が盛り上がってくることに対しては喜ばしく思う」(ヨーグルトドリンク「R-1」を販売する明治の広報担当者)と、市場の盛り上がりを好意的に受け止める企業もあった。

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