昨春には「ピルクル」が「ピルクル400」にリニューアル
社会現象ともいえる「ヤクルト1000/Y1000フィーバー」だが、近年は乳酸菌飲料市場自体への注目も高まっている。総務省統計局の家計調査によると、乳酸菌飲料への1人あたりの年間支出額(2人以上の世帯)は01年時点で3352円だったのが、21年では4410円と、20年の間に1000円以上増加している。
人気の背景の一つが、商品の「高付加価値化」だ。「ヤクルト1000/Y1000」以外にも、「健康な人の免疫機能の維持をサポート」を掲げたキリン「iMUSE」ブランド(17年~)の飲料や、「睡眠の質を高めるのに役立つ」「腸内環境の改善に役立つ」とするアサヒ飲料の「届く強さの乳酸菌W」(19年発売)など、近年は「新風」が相次いで登場。日清ヨークのロングセラー飲料「ピルクル」(93年発売)も、21年4月から65ミリリットルあたりの乳酸菌の数を従来の150億個から400億個に増やした「ピルクル400」にリニューアルしている。
キリンの広報担当者は22年6月2日、J-CASTニュースの取材に、今年3月発売の100ミリリットル入り乳酸菌飲料「iMUSE 朝の免疫ケア」の好評もあり、「プラズマ乳酸菌入り飲料」カテゴリが好調に推移していると説明。また、アサヒグループジャパンの広報担当者は3日、コロナ禍以降は『睡眠の質』に対するニーズが高まっていることもあり、「届く強さの乳酸菌W」の販売実績が好調だとした。
日清ヨークの「ピルクル400」は「ヤクルト1000」と名前などが似ていることもあり、今回のブームではSNS上で比較されるケースが目立っている。同社の広報担当者は3日、「業界が注目を集めている中、日清ヨークとしてもこの先新商品を展開していきたいと考えております」とした。
また、今回の「ヤクルト1000/Y1000」ブームの受け止めについて、飲料メーカー4社に3日までに回答を求めたが、各社とも「他社製品については答えられない」などとして言及を避けた。一方で、「乳酸菌市場に対する関心が高まることについてはポジティブに捉えている」(キリン担当者)、「健康に関わる市場が盛り上がってくることに対しては喜ばしく思う」(ヨーグルトドリンク「R-1」を販売する明治の広報担当者)と、市場の盛り上がりを好意的に受け止める企業もあった。