「いのちの電話」無償ボランティア活動に心配の声 報酬は難しい?運営団体が明かす事情

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   自殺予防などのため悩み相談に応じる「いのちの電話」が、テレビ番組で取り上げられ、ネット上では、無償のボランティア活動に様々な意見が出ている。

   電話対応が難しく、精神的な負担もかかると予想されるため、国がもっと活動を支援できないかとの声が多い。運営団体の日本いのちの電話連盟や厚生労働省の担当課に話を聞いた。

  • 日本いのちの電話連盟のサイト
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日テレ「シューイチ」で特集し、人員不足の現状を紹介

   いのちの電話は、連盟の公式サイトによると、1953年に英ロンドンで行われた自殺予防のための電話相談をきっかけに始まった。

   日本では、ドイツ人宣教師のルツ・ヘットカンプさんを中心に準備が進み、71年10月に初めてボランティア相談員による電話相談が東京で行われた。77年に連盟が結成されて、この電話相談は拡大を続けた。「無償のボランティア相談員による市民活動」をうたい、2020年現在で、連盟に加盟するセンターは全国で50に達し、相談員も約6000人にまで増えた。19年の相談件数は、計62万件を数えている。

   日本テレビ系の情報番組「シューイチ」では22年5月29日、この「いのちの電話」活動を特集し、相談員は1年半にわたって研修を行い、献身的な電話応対に努めていることを紹介した。ただ、人員不足の状態が続いており、若い人の参加を呼びかけているともした。

   この放送は、反響を呼んで、ツイッター上などで、様々な意見が寄せられている。

   最も多かったのは、無償のボランティアであることで、相談員に大きな負担がかかっているのではという心配の声だ。「善意に頼り過ぎ」「職業にした方が良い」「専門的な分野と考えてお給料だせないだろうか」などと書き込まれていた。

   また、厚労省のサイト上でも、悩み相談の連絡先に挙げられているだけに、「お国の機関だと思い込んでいました」「厚労省こういうところに金掛けるべき」との声も出ている。

   もっとも、厚労省でも、連盟の相談活動のうち、自殺予防のフリーダイヤルについては、それに要する経費を助成している。

厚労省「いのちの電話への助成要望は連盟から来ていない」

   助成について、厚労省の自殺対策推進室は5月30日、J-CASTニュースの取材に対し、同省の公募に対し、連盟が財政支援を受けようと申請し、審査を得て採択していると説明した。同室によると、2001年から助成を受けており、年によって状況は違うものの、増加傾向にある。20年実績では、助成が約1億5000万円に達した。

   ただ、自殺予防のフリーダイヤルは、利用に一定の制約があることもあってか、19年は3万8000件ほどで、相談件数全体の約6%に過ぎない。連盟の各センターが応じている「いのちの電話」そのものについては、連盟から厚労省に助成への要望は来ていないという。

「どうにかして悩んでいる人の力になりたい方が相談員に応募されており、連盟では、相談員はボランティアという精神でやっていると聞いています。助成への要望がないことについては、国の方からコメントする立場にはありません」

   相談員について、日本いのちの電話連盟の事務局では6月1日、「発足当初から市民による無償のボランティアとして活動してきました」と取材にメールで答え、「基本、研修費・交通費は相談員の自己負担です」とした。

   無償のボランティアにこだわる理由については、こう説明した。

厳しい運営状況「相談員に報酬をということとは、別の問題」

「『いのちの電話』は、良き隣人として苦しんでいる方に寄り添いたいと願う市民活動であり、それがいのちの電話の専門性です。全国の50のいのち電話は、それぞれ独立した法人で、それぞれが寄付や公的な補助金などで運営しておりますが、各センター共運営状況は厳しいものがあります。相談員に報酬をということとは、別の問題と考えています」

   ネット上では、電話がなかなかつながらないのは、人員不足のためではないかとされているが、その点については、こう述べた。

「電話がつながりにくい原因の1つに、相談員の数をはるかに上回る相談件数が寄せられるということがあります。有償ボランティアによる相談窓口をされている他の団体様がある現在、若い方のご参加も含めて『いのちの電話』の活動を理解していただいたうえで、ご参加いただける方にご協力していただければと考えております」

   「シューイチ」の特集については、「放送直後にツイッターで様々な意見が書き込まれていたのは存じております」とし、今後の活動における課題や方針などについては、こう述べた。

「最近の悲しい報道とともに『いのちの電話』の名前が多く使われますが、それに伴い誤った書き込みなどをSNS等でみかけます。今後は、正確な情報を発信することも考えていく必要があると思っております」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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