ハイレベルかつ結束を高めたオーディション
なぜこれだけのスキルを発揮できているのか、デビューまでの経緯をたどってみよう。
BE:FIRSTが誕生するきっかけとなったのは、AAAのメンバーでのあるSKY-HIが自腹で1億円以上を投じて開催したオーディション『THE FIRST』だ。SKY-HIは「才能を殺さないために。」をモットーに、才能を持つアーティストが自分のスタイルのままで開花、活躍できる場としてマネジメントレーベル「BMSG」も設立、BE:FIRSTの7人もここに所属している。
『THE FIRST』は強いコンセプトを持ったビッグプロジェクトであること、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)内で放送されたこと、落とすためのオーディションではなく成長するためのオーディションという新しさなどが理由となって、大きく話題となった。
オーディションの審査基準となったのは、歌やダンスの基礎能力「クオリティファースト」、楽曲制作や振り付けを自発的に考える力「クリエイティブファースト」、表現力や個性などの「アーティシズムファースト」という「3つのFIRST」だった。参加者の中には有名アーティストのバックダンサーなども多く、選考の様子が放送された2次審査から非常にレベルが高かった。審査を重ねるごとに徐々に人数が絞られていくのだが、参加者たちもライバル心を剥き出しにするのではなく、お互いに助け合い、刺激し合っていく様が放送された。
審査課題のレベルの高さは、現在のBE:FIRSTのスキルの高さにもつながっている。例えば3次審査のアーティシズム審査は、ほぼ初対面の参加者達が5人ずつのチームに分けられ、24時間でパフォーマンスを完成させるというもの。各チームそれぞれの課題を抱えて苦戦していたものの、支え合って自分たちのカラーを盛り込んだハイレベルなパフォーマンスを披露した。
その後行なわれた1か月の合宿審査においても、与えられたトラックに作詞、作曲、振り付けをしたり、自分たちで振り付け、歌割りをしたパフォーマンスでSKY-HIとバトルしたりと、プロのアーティストとほぼ変わらない活動を続けていた。
このような高いレベルを求め続けられるオーディションを経た彼らだからこそ、先に述べたようなスキルを発揮できている。「新人のボーイズグループ」と侮るなかれ。歌もダンスもクオリティの高さに度肝を抜かれるはずだ。
ダンスのレベルはかなり高く、ダンス未経験のメンバーもいることを感じさせないほどのまとまりもある。さらに、激しいパフォーマンスが終わった後でも一切息が乱れないなど、基礎体力も充分に持っている。そのクオリティの高いパフォーマンスをフェスやイベントなどでも精力的に見せてきた結果、幅広い層からの支持を集めるまでになったのだろう。
BE:FIRSTは、「日本、アジア、そして世界へ」という言葉を掲げている。それを実現する日は、そう遠くはないのではないだろうか。そう感じさせてくれる7人のこれからにぜひ注目していただきたい。
(高橋梓)