SKE48の「チームS」の新公演「愛を君に、愛を僕に」公演が2022年5月28日、名古屋・栄の専用劇場で初日公演を迎えた。SKE48にとって、オリジナル公演は実に11年ぶりだ。
プロデューサーは小室哲哉氏(63)。全16曲を書き下ろし、そのうち6曲はTM NETWORKの木根尚登氏(64)が作曲した。AKB48グループのオリジナル劇場公演を秋元康氏(64)以外がプロデュースするのは初めて。メンバーからは、これまでの劇場公演とは「本当に雰囲気が全く違っていた」という声もあがり、「回を重ねるごとに私達のものにしていきたい」と意気込んでいた。
「だってオリメンですから...!オリジナルメンバーですから...!」
SKE48にとって、他の姉妹グループの「お下がり」や既存の楽曲を組み合わせて作ったものではないオリジナル公演は、「手をつなぎながら」公演(09年2月初演)、「制服の芽」公演(09年10月初演)、「ラムネの飲み方」公演(11年10月初演)に次いで4番目。48グループ全体としても、オリジナル公演はAKB48・チームAの「M.T.に捧ぐ」公演(16年2月初演)以来、6年ぶりだ。
新公演は、SKE48に3つあるチームのうち「チームS」が上演。振り付けは、全体曲は牧野アンナさん、ユニット曲は振り付けユニットのCRE8BOY(クリエイトボーイ)が担当した。牧野さんはきわめて厳しい指導で知られ、「本当に暗くて長いトンネルをずっと進んでるような感じ」(仲村和泉さん=22)の過酷なレッスンの日々を乗り越えて迎えた初日公演だった。
この日は昼公演と夜公演の2公演が行われ、リーダーの松本慈子(ちかこ)さん(22)が昼公演の終盤に
「『控えめに言って神公演にする』と先生は言ってくれたんですけど、『控えめに言って』神公演じゃないです。『大声で言って』、この公演は神公演です!」
と感極まった様子であいさつすると、劇場は30秒近くにわたって大きな拍手に包まれた。
副リーダーの上村亜柚香(あゆか)さん(18)は、中盤のユニット曲後のMC(トーク部分)で「だってオリメンですから...!オリジナルメンバーですから...!」と興奮を隠せない様子で、「オリメン」の意義を
「この先もし、この3人がSKE48を旅だった(卒業した)としても、この衣装は自分のものですし(衣装には自分の名前が残る)、もしこの先、SKE48に入ってきてくれる子たちがこの曲をやる、ってなった時にも、立ち位置表に書かれている名前は私たちですから。素晴らしいですよ!」
などと熱弁。平野百菜さん(15)も
「やばーい!じゃあ、未来のSKE48メンバーが『平野さんポジ(ポジション)』って言うんですか?ああー!!」
と、喜びを爆発させていた。
「私たちの目標はSKE48の入口を作ること」
チームSは22年5月まで、SKE48のシングル曲や劇場公演曲を組み合わせた「重ねた足跡」公演を約6年間にわたって上演してきた。終演後取材に応じた松本さんによると、新公演は「今までの劇場公演と本当に雰囲気が全く違っていた」。歌詞に「難しい表現」が多く、その苦労を
「ちゃんと歌詞の意味を解釈した上で振り入れに挑んだりもしたんですけど、まだまだ多分私達、理解できていない部分が正直あると思うんですよ」
と明かした。その上で、
「回を重ねるごとに私達のものにしていきたいですし、新しい私達の魅力を引き出してくださったので、まだまだチームSの可能性が見えたなというふうに感じました」
とも話した。
小室氏はリハーサル(ゲネプロ)を鑑賞し、スタッフを通じて
「歌やダンスで必死すぎて、まだ歌詞の意味が理解できておらず、表現は余り上手にできていない部分があった」
といった感想をメンバーに伝えていた。小室氏は前向きな感想も口にしていたというが、メンバーの奮起を促すために、スタッフは改善点だけをメンバーに伝えていた。
小室氏の感想について青海ひな乃さん(21)は
「曲を書いていただいた方に『歌詞の意味とかを理解してほしい』とか言わせてしまったのが悔しくて...。『良かったよ』ってやっぱり言われたいですし、いただいたからには、私たちも全力で、まだまだこれからも向き合っていきたいと思っているので、次こそは成長した姿をお見せできたら」
と話し、成長を誓った。青海さんは「私たちの目標はSKE48の入口を作ること」「どんどん、いろんなところに扉を作っていきたい」とも話し、新公演を新たなファンの呼び水にしたい考えだ。新公演の楽曲を収録したアルバムが6月8日に発売されるほか、6月11日には、公演内容に満足できなかった人にチケット代を返金する「全額返金保証公演」を行い、事前に名古屋市営地下鉄の駅に広告も出す。新公演が新規ファン獲得につながるかの試金石になりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)