「技術的には可能かもしれないが、聞いたことはない」
ただ、NTT東日本では、メーカーに委託して自社ブランドとして出しているビジネスフォンについては、お互いの音声が聞こえないようしっかり保留にする仕様になっているため、自社端末では起こりえないと強調した。他社ブランドの端末については、お答えする立場にはないとした。
あるビジネスフォンの大手メーカーも5月27日、保留中に客の声が聞こえるのは仕組み的にありうると広報担当者が取材に明かした。
「客側が保留にした場合は聞こえませんが、コールセンター側が保留にする場合は、客の声を聞くことはできます。NTTの回線を使っていても、端末によっては可能でしょう。保留中は、マイクにフタをするように自分たちの声は止め、代わりにオルゴールのように音楽を流す方法もあると思います。このように、理屈上はありえますが、こちらではそのような要望をいただいたことはありません」
さらに、NTTなどの電話回線を使わなくても、客の声が聞こえるようにすることは可能だと広報担当者は指摘した。
「LINE電話のように、インターネットサービスを利用すればできると思います。コールセンターがソフトフォンを導入する場合ですね。色々なタイプの接続方法があり、ソフトを使って客の声を取り込むようにすればいいわけです」
では、実際に、電話の端末やソフトフォンを使って、客の声が聞こえるようにしているコールセンターはあるのだろうか。
関連業種も含め224社が加入する「日本コールセンター協会」では27日、取材に次のように説明した。
「保留中に客の声が聞こえるというのは、やろうと思えば、技術的にはできるのかもしれません。しかし、一般的には考えられず、運用上で敢えてやったというところは聞いたことがありませんね。オペレーターは、保留中に調べたり上司に聞いたりしており、客の声を聞いていることはないと思います。そもそも、意図的に聞こえるようにするという理由が分かりません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)