ドキュメンタリーを残すことで「家族に会えなくても家族を繋ぐことになる」
ヤン氏は、「ディア・ピョンヤン」を発表したことが原因で、北朝鮮に入国できなくなっている。つまり、兄の家族に会うことや父親の墓参ができない状態が続く。ヤン氏は涙を見せながら、それでもリスクを取って映画を撮ることの意義を語った。
「私が生きている間に家族に会えるかどうか分かりませんけれども、もし会えなかった場合...」
と前置きした上で、次のように話した。
「(会えない兄の家族に対して)自分たちに仕送りばっかりしてくれる、おじいちゃんおばあちゃん(ヤン氏の父親と母親)が、どういう家に住んで、どういう人生だったかを残すことが、家族に会えなくても家族を繋ぐことになるというか...。(北朝鮮側に)謝罪文を書いたり、私が映画をギブアップして家族に会うというよりは、それよりもっと家族をつなぐことになるのではないか、と思いました」
ドキュメンタリー映画監督として見た場合も、被写体として魅力的だった。
「私の両親は、本当に(朝鮮)半島の間の、いろんなイシュー、矛盾が縮図のように凝縮した、とても良い取材対象といいますか、born-to-be(生まれながらの様子を描く)ドキュメンタリーのメインキャラクターのような、こういう、この家庭をちゃんと撮らずにほっておくことはないと...」