高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
TPPに当分復帰できない米国...IPEFで果たす「対中国包囲網」

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サプライチェーンの構築が重要課題

   TPPはインドの加入はあり得ないが、IPEFは柔軟性があるので可能だ。実際、アメリカ、オーストラリア、ブルネイ、インド、インドネ シア、日本、大韓民国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、 ベトナムの13ヵ国で発足した。

   IPEFではサプライチェーンの構築が重要課題なので、台湾は欠かせない。バイデン政権も訪韓時にサムスン社を見学したことから重要視しているはずだ。日、米、韓、台湾で半導体の世界シェアの大半を押さえられるので、台湾が加入すればベストであるが、当面アジア加盟国数にこだわるために、他のアジア国の中国懸念を配慮し、台湾は発足メンバーから外れた。ただし、当面、台湾はオブザーバー参加であると思われるが、いずれ加入するだろう。

   経済面での対中国包囲網であったTPPにアメリカは政治的に当分復帰できないので、今後、アメリカは対中国包囲網としてIPEFを使っていくだろう。これは新しい展開なので、期待したい。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。


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