高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
TPPに当分復帰できない米国...IPEFで果たす「対中国包囲網」

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   2022年5月22日に日米首脳会談、23日に日米豪印クワッド首脳会談が行われた。ロシア、中国、北朝鮮に対する安全保障の問題が議論されたのが大きな成果だ。

   経済関係では、米国が提唱する「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)が興味深い。

  • ジョー・バイデン米国大統領(写真:AFP/アフロ)
    ジョー・バイデン米国大統領(写真:AFP/アフロ)
  • ジョー・バイデン米国大統領(写真:AFP/アフロ)

IPEFはTPPの「完全な代替にはなり得ない」

   IPEFは、バイデン政権が国内の反発が根強い環太平洋経済連携協定(TPP)の代わりに打ち出した、日本や東南アジアの国々と連携して中国に対抗する経済圏づくりの枠組みで、いわば、IPEFは、TPPに復帰できないアメリカが代わりに苦肉の策として考え出した経済枠組みだ。

   IPEF構想について注目すべき点は、米国議会の承認プロセスを必要としない枠組みだ。その背景には、「大統領貿易促進権限(TPA)」が2021年7月に失効したことが影響している。

   もう1点、政権が議会の承認プロセスを回避したい理由として考えられるのが、11月に控える中間選挙。労働組合が主要な支持母体で、歴史的に自由貿易に後ろ向きといわれる民主党にとって、中間選挙を控える中、TPP復帰は政治的に難しい。バイデン政権はこうした状況を踏まえて、議会の承認を迂回するIPEF構想を選んだ可能性がある。

   さて、IPEFの中身はどうなるのか。バイデン政権は日本のほか、オーストラリアやシンガポール、マレーシアなどとIPEFの中身を検討してきている。ただし、IPEF構想はTPPの代替になるかといえば、IPEFには関税がないなど、それらの性格が異なるので完全な代替にはなり得ない。

   しかし、TPPが目的としていた対中国包囲網の役割はかなり果たせる可能性がある。

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