広島市が8月6日の「原爆の日」に開く平和記念式典にロシアを招待しないことを決めたことを受け、ロシアのミハイル・ガルージン駐日大使が2022年5月25日、駐日ロシア大使館のSNSを通じて、「恥ずべき措置」だとして非難した。
ガルージン氏は、過去に式典に参列した感想として「この恐ろしい民間人大虐殺を行った国はいったいどこなのか、日本側のスピーチからはさっぱりわからない」とも指摘。日本が米国を非難しないことを「米国に対する同盟国としての義務だと理解しているのでしょう」と皮肉った。ロシアはこれまでの「原爆の日」に出した談話で、米国による原爆投下を「民間人に対する核兵器の運用実験」だと非難した経緯がある。
米国の責任に言及しないのは「同盟国としての義務だと理解しているのでしょう」
ガルージン氏の書き込みでは、招待を見送ったことを
「この恥ずべき措置により、1945年8月米国による原爆投下の犠牲となった罪のない何万人という同胞の記憶に、日本の自称反核運動の指導者はあらためて背を向けました」
などと非難。さらに、過去に式典に参列した際の違和感を
「これまで平和記念式典に出席するたびに私が感じたのは、この恐ろしい民間人大虐殺を行った国はいったいどこなのか、日本側のスピーチからはさっぱりわからない、という思いでした。日本がこの点を思い出したくないのはあきらかです。それが米国に対する同盟国としての義務だと理解しているのでしょう」
などと披露した。ロシアがウクライナ侵攻で核兵器を使用する可能性が指摘されていることについて、
「ロシアがウクライナでの核兵器使用を目論んでいるというばかげた作り話を、恥知らずにもあらゆる手を尽くして拡散しています」
などと否定した。
ラブロフ外相、米国の原爆投下は「武力の誇示、民間人に対する核兵器の運用実験」
21年の式典にはガルージン氏の代理人が参列し、20年はガルージン氏本人が参列した。20年は原爆投下から75年になる節目でもあった。ラブロフ外相が声明を出し、それをガルージン氏が読み上げるビデオメッセージも出している。声明では、1945年8月9日にソ連が日ソ中立条約を無視して対日参戦した経緯を念頭に
「連合国間の合意の一環として行われたソ連の極東攻勢は、中国と朝鮮を解放しただけでなく、日本の軍事行動継続の意欲を失わせた」
などと主張する一方で、米国による原爆投下を「武力の誇示であり、民間人に対する核兵器の運用実験」だったと非難。その上で次のように核保有国としての正当性を主張していた。
「米国はこの種の大量破壊兵器を使用した最初で唯一の国だ。ロシアは核兵器保有国として、国際安全保障と世界および地域の安定に対する責任を認識している。私たちは、核兵器の使用がもたらすであろう影響を認識している」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)